こちらは3つの世界で
勇気を試される瞬間に出会う
男性たちを描いた物語よ。
おお、伊坂作品ね。
今回はどんな設定なんだ?
権力に巻き込まれた議員、
特殊な予知能力に悩まされる
営業、正義の味方。彼らが
各自の世界でトラブルに巻き込まれるわ。
なんか脈絡があるような
ないような…?そして3つの
物語にはなんらかの関連性が
あるんだろうか?
『PK 新装版』伊坂幸太郎 (著) 講談社文庫
あらすじ
人は時折、勇気を試される瞬間が訪れる。
落下する幼児をすんでのところで抱きとめた議員の男。
助けられた幼児はのちに警備会社の営業として働き始めるが、時折届くメールの存在に悩まされていた。
また、ある倉庫の地下へと連れてこられた男性は、世界のことわりについて、またここにいる理由について説明され、驚き、ぼう然とし、絶望する…。
3つの世界で試される勇気。
そしてまた彼らの勇気が伝染したとき、世界はどのような結末を迎えるのか。
彼らは様々な形で勇気を試される瞬間を迎える
幹事長に呼び出され、嘘をつくことを強要された大臣。
ふと思いつき、秘書官に2002年ワールドカップ、アジア予選最終戦で日本のエース選手がPKを決めたという試合について調査させます。
PKの前に選手同士で交わされた会話の内容は何だったのか。
今は亡きその二人の選手の背景には意外な事実が隠されていて…。
また、ある作家は初めて見た担当者に、原稿の多くの部分に修正を入れられます。
内容は綺麗にまとまりますが納得のいかない作家は自分の主義を貫こうとします。
その結果、作家の身に大変なことが起こり…。
大臣は若い頃、マンションのベランダから落ちた幼児を救います。
この幼児は成長し、営業の仕事をしているのですが、彼には人が死ぬ予告をするメールが届きます。
殺人事件の場合、事件が起こる前に犯人を殺していく、と語る彼のもとに、新たな殺人予告メールが届きます。
それはこれまでにない規模の内容で…。
最悪な結末を逃れるために少しずつ世界を調整している機関の人間に連れてこられた男。
少しずつのズレを直していた結果、彼の存在が大きなズレであることがわかり…。
まとめ
3つの世界の物語。
過去と未来、現在のパラレルワールドが交錯していきます。
それぞれの世界で特殊な脳力を持った人間が現れ、また互いに作用したり、単独で動くことで最悪な結末へ向かう道筋を変えていこうとします。
勇気、特殊能力、運命を動かす「見えざる手」。
これらの要素をベースに3つの物語が繋がった時、思わず「あっ!」という声が出ます。
軽妙な会話とテンポの良い展開で、SF要素を含みながら伊坂ワールド全開で最後まで楽しめる物語です。
<こんな人におすすめ>
3つの異なる世界が絡まり合い繋がっていく物語に興味がある
勇気や特殊能力をテーマにした物語を読んでみたい
伊坂幸太郎のファン
おお!やはりつながって
いたのか!「勇気は伝染する」
っていいよな。力をもらえるぜ。
SFの世界も伊坂さんの
手にかかればとたんに
エンタメの世界に変身ね。
『魔王』や『モダンタイムス』との
繋がりを見つけるのも楽しい物語ね。
本書とゆるやかなつながりを見せる『魔王』『モダンタイムス』のイラストブックレビューはこちらからご覧いいただけます。
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