こちらはある若い男性教師が
校舎の屋上から飛び降りたのだけど
そこまでに何があったのか、
生徒や教師本人のそれぞれの視点から
描いていく物語よ。
飛び降り…
その教師はよほどまずいことをしたのか。
あるいはされたのか。
彼が担任していた教室の
黒板には「私が先生を殺した」
と書いてあったの。
ええ!?誰かに殺されたってこと!?
いったい誰が… その教師に何が
起こったっていうんだろう。
『私が先生を殺した』桜井 美奈 (著) 小学館文庫
あらすじ
避難訓練で校庭へと集まった高校生たちは、終わる気配のない校長の話にウンザリとしていた。
一人の生徒が「ねえ…あそこに誰かいない?」という声につられて顔をあげると屋上のフェンスの外側に彼らがよく知る人物の姿が。
生徒たちの目の前で若き英語教師・奥澤は校舎の屋上から飛びおりた。
彼が担任をしていたクラスの黒板には「私が先生を殺した」という文字が。
章ごとに語り手が変わり、それぞれの視点から語られる出来事は驚くべき真実へとつながっていく。
先生の言葉に隠された真実とは
周囲が受験モードとなるなか、やる気の起こらない砥部はスマホを常にチェックし、時に授業妨害のようなこともしています。
担任の奥澤の提案で、放課後狭い準備室を使い、二人で勉強会をすることに。
渋々とこなしていた砥部のスマホにある画像が送られてきます。
それは教室で抱き合う男女の姿。
加工してありますが女性のほうは制服、男性のほうはなんと奥澤だったのです。
砥部が瞬時に拡散した結果、奥澤は担任を外れ、生徒からの信頼も失墜したかのように見えたのですが…。
また、百瀬奈緒は入学してからずっと奥澤を追いかけてきました。
どうしても一歩を踏み込ませてくれない奥澤と話をしたい一心で、彼の担当教科である英語を質問し勉強を頑張ったため、かえって成績が上がり質問もできない状況に。
受験対策と称して奥澤を教室に呼び出した奈緒は意を決して彼に抱きつきますが身体を離されます。
その時の動画を撮られ拡散され、奥澤は担任を外される事態に。
動画の人物は自分であると名乗ろうとする奈緒に、奥澤は「その必要はない」と言います。
でもやはり名乗った方が…と悩む奈緒の目の前で奥澤は飛び降ります。
取り乱した奈緒は思わず「私が先生を殺したの!」と叫び…。
まとめ
若くて話しやすい、と人気の教師。
そんな教師をうっとおしく感じる者、慕う者、信じる者、利用する者たちが絡んでいきます。
何かを隠し続け、これまでと違った様子になっていく奥澤。
その「何か」を立場ごとに、そして時系列を巧妙に組み見せていく構成は実に見事です。
驚きと同時に納得し、その真実の切なさが深く胸に残るミステリーです。
<こんな人におすすめ>
人気の教師が自殺する原因となったものは何か興味がある
教師や生徒の本音が垣間見えるミステリを読んでみたい
桜井 美奈のファン
え、嘘…
そんな事実が裏に潜んでいたなんて。
。゚゚(´□`。)°゚。ワーン!!
教師がなぜそのような行動に
出たのか。それが明らかに
なったとき胸をしめつけられるような
苦しさとかすかな希望を感じさせる
物語ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。