こちらは女子高校生が事件に挑む
『自由研究には向かない殺人』の続編よ。
主人公のピップは、行方不明になった友人の兄の
捜索に協力するの。
ほほう。前回は確か、行方不明の末
死体となって発見された人物の殺害容疑を
晴らしたんだよな。
そうなの。前回の事件のその後の
様子も描かれているわ。逮捕され
裁判にかかっている人物も。
罪を犯した人間にはきちんと
償ってもらいたいものだな。
あと、行方不明になった兄ってのも心配だな。
面倒なことに巻き込まれているのだろうか。
『優等生は探偵に向かない』
ホリー・ジャクソン (著), 服部 京子 (翻訳)創元推理文庫
あらすじ
高校生のピップは友人のコナーから失踪した兄・ジェイミーを探してほしいと頼まれ、ポッドキャストを使って情報を拡散・収集。
捜査の進捗状況も配信していく。
関係者へのインタビューやSNSなどの情報により、ジェイミーの足取りが少しずつ明らかに。
そしてピップが辿り着いた真相とは。
行方不明のジェイミーの足取りを追うピップ
研究としてピップの相棒でもあるラヴィの兄の無実を明らかにし、多くの女性を苦しめたレイプ犯・マックス逮捕へとつなげたピップは、その調査経緯と推理をまとめポッドキャストで配信していました。
視聴者数も伸びていたある日、ピップは友人コナーから、兄のジェイミーの行方がわからないため、ポッドキャストを使って探してくれないか、と頼まれます。
一度は断ったピップですが、警察の対応に不信感を抱き、引き受けることに。
覚悟はしていたものの、コナーやジェイミー、ピップに様々なコメントが寄せられ、その中には彼らを誹謗中傷するものも少なくありませんでした。
失踪前のジェイミーの様子、彼のロックされたPCのパスワード、友人や家族の話から彼らしくない行動が判明します。
そしてジェイミーがSNSでやりとりをしていた謎の女性の存在。
いくつか重なり合う事象が、やがてひとつの形の真実となってピップの前に現れます。
そんなピップの前に立ちはだかる大きな試練とは。
まとめ
ポッドキャストの配信や、facebookなどで情報提供の依頼をし、寄せられた動画を解析するピップ。
Z世代はスマホとPCがあればここまでできるのかと思わず唸ります。
しかし多くの中傷や、真実が明らかになったことで傷ついた人々の痛み、正しく判断されない善悪に苦しみ疲弊していってしまいます。
傷つきながらも真実を求めて戦い続けるピップにエールを送りたくなるミステリ。
<こんな人におすすめ>
失踪した知人をSNSなどを駆使して情報収集し推理する女子高生を描いたミステリに興味がある
前作『自由研究には向かない殺人』を読んだ
ホリー・ジャクソンのファン
ピップ…。 ・゚・(ノД`)・゚・。
真実のためにこんなに苦しい思いを
することになるなんて…
SNSは大きな武器となるけれど
それが自分に向かってくるという
諸刃の剣でもあるわね。そして正義とは
なんなのか、という問題に真正面から
向き合う彼女のまっすぐさに心を打たれる
ミステリーね。
前作『自由研究には向かない殺人』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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