ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『まりも日記』真梨幸子 (著)

のこ
のこ

こちらは売れない女性作家を

はじめとした猫に魅入られた人々と

猫のそれぞれの視点から描かれる

イヤミスならぬネコミスよ。

ぬこ
ぬこ

イヤミスで有名な作家だもんなあ。

猫が不幸になるのか?それとも

人間か?

のこ
のこ

ギリギリの生活を送る女性作家が

ペットショップで一目惚れした

猫を購入するのだけど、ますます

生活が苦しくなるの。そんな時

震災が起こり、猫は逃げ出すわ。

そこから猫は様々な環境で暮らすことに

なるの。

ぬこ
ぬこ

猫の冒険でもあるわけね。

まあ猫の魅力もわかるけど

生活が追い詰められるような

状況にならないように考えて

飼ってほしいもんだな。

『まりも日記』真梨幸子 (著)講談社文庫

あらすじ

46歳独身、去年の年収は200万以下。

そんな私は動物を飼うことには慎重になっていたのだが、ある日運命の出会いを果たしてしまった。

それは生後8ヶ月のブリティッシュショートヘアの雌猫。

売れ残っていたため価格が下がり、自分の貯金でも何とか買える…。

「まりも」と名付けた愛猫との満たされた生活が始まると心浮き立つ私。

そしてまりももまた、激動の猫生の幕開けとなったのだった。

猫に魅入られた人間側、そして猫の側、二つの視点から描かれる戦慄のネコミス。

売れない女性作家 猫の虜になる

売れない女性作家である私は、バイトや派遣の仕事でギリギリの生活を送っています。

そんな時、ペットショップの雌猫に目を引かれます。

売れ残ったその哀れな様子、下がった価格に「うちの子」として迎え入れることを決意します。

お世話や病院にかかる費用であれよあれよとお金が飛んでいきます。

家賃も滞納し、いよいよマズいことになってきたその時、大地震が起こり、猫のまりもは脱走。

そして離婚して田舎町で一人で住む女性の家を訪れたり、元の飼い主である私の住むマンションの周囲に出没したりしています。

まりもさんにまた会えるかも、という期待を抱きながらも、住んでいるマンションでは、敷地内での排泄物事件や腐乱死体が発見された事件など、不穏な出来事が次々と起こり…。

まとめ

売れない女性作家とブリティッシュショートヘアのまりもさんを中心に、彼女たちが少しずつ関わったことで別の場所や人が事件に巻き込まれていくミステリです。

各章の流れや構成の組み方が巧妙で「あの人、こうなっちゃったのか〜」と思うと「あれ?違う!?じゃああの人は結局どうなったんだ!?」と騙される楽しさがあります。

合間には、まりもさんと他の猫たちが時を経て様々な場所で会話を交わします。

猫らしく高飛車で高慢な部分もありますが彼らなりの飼い主への思いにはホロリとさせられます。

猫の沼にズブズブとはまり込んでいく飼い主の姿も秀逸です。

貯金をはたいて猫のために尽くす様子は一歩間違えばこれは自分の姿だと思わずにはいられません。

猫に人生を狂わされたのか、それとも人間に人生を狂わされたのか。

猫の思いは想像したり、小説の力を借りるしかありませんが、人間のほうは狂おうがどうなろうが、猫の魅力から逃れられないものなのかもしれません。

そうした怖ろしい猫の魅力に踊らされる人間の姿を楽しめる「ネコミス」です。

<こんな人におすすめ>

イヤミスならぬネコミスに興味がある
猫に惑わされ人生の歯車が狂っていく人間を描いた物語を読んでみたい
真梨幸子のファン

ぬこ
ぬこ

人間が猫にはまっている姿って

なんでこうおもしろいのか…

猫と人間のテンションの違いも

笑えるな〜。

のこ
のこ

良い人間も悪い人間も

猫の魅力からは逃れられない、

ということなのかも。

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