
こちらは貧乏や美食、不倫など
様々なテーマをユーモア溢れる
筆致で描く短編集よ。

なんかどれも重いテーマだよなあ。
ユーモアを交えて…?

編集者からなかなかOKが出ない
新人作家が出版社の創始者の
銅像から話しかけられる、なんて
物語もあるわ。

ええ!?それだけでもう
おもしろいじゃないか!!
銅像は売れない作家に何を
話しかけるんだろうな。
『ついでにジェントルメン』柚木 麻子 (著) 文春文庫
あらすじ
三年前、二十五歳で文藝春秋から発行されているオール讀物主催の新人賞を獲った原嶋覚子は、担当編集者の佐橋守から原稿について様々な指摘を受けていた。
「別の新人賞に応募して、一からデビューし直そうかなあ…」とつぶやく覚子の斜め上の辺りから「そんなの意味ないよ」と甲高い男の声が聞こえてきた。
その方向を見ると文藝春秋の創始者である菊池寛の上半身をかたどった銅像があった(「Come Come Kan!!」)。
貧乏、美食、不倫などユーモアな筆致で鮮やかに描く、元気をもらえる七つの短編集。
文藝春秋の創設者が作家の卵に話しかけてきた!?
文藝春秋の一階サロンでは有名作家が何人も編集者と雑談しています。
壁際中央には、創始者である菊池寛の銅像が据えられており、今日の覚子はその近くのソファに座っていました。
向かいに座る担当編集者の佐橋から様々な指摘を受け、書き直した数は十五回。
実家で平和にのんびり暮らす覚子には文学など書けないだろう、といった空気を発する佐橋に実際その通りだとも感じる覚子。
彼を見送った後に聞こえてきたのは、なんと菊池寛の銅像から発せられる声。
驚き固まる覚子に「そもそも、オール讀物に新人の作品がなかなか載らないなんておかしいんだよ。本末転倒。ナンセンス。」とまくしたてる銅像の口元はしっかりと動いていて…(「Come Come Kan!!」)。
まとめ
菊池寛が現代に生きていたら。
そんなシチュエーションで銅像の状態ではあるけれど、なかなか次の作品を出せない新人作家の覚子にあれこれアドバイスします。
それは固苦しいことではなくて、覚子と同じ境遇にいる作家に声をかけてみて、といったような一見何でもないようなことです。
そんな出来事をきっかけに覚子の周囲の状況が少しずつ変わりはじめます。
菊池寛は若い作家たちに「もっと自由に!のびのびと!」と明るくノリノリで応援してくれているようです。
ユーモアあふれる描写で自分らしく生きる力が湧いてくうるように感じるう短編集。
<こんな人におすすめ>
どこか世の中になじまない人々のもどかしさを描く物語に興味がある
ユーモアある筆致でテンポよく展開していく短編集を読んでみたい
柚木 麻子のファン


確かに明るい!!
重々しくなく現状と向き合って
行こうと思える勇気を与えて
くれるんだよなあ。さすがだ。

あれこれ考えずに
シンプルに物事に取り組むことも
時には大切なのかもしれないわね。
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