
こちらは没交渉だった
大叔母が亡くなった謎に
ミステリ作家の卵である
アニーが挑むミステリーよ。

連絡のなかった大叔母かあ。
遺産の問題が絡んでいるとか?

大叔母は占い師から言われた
「いつか殺される」という言葉を
信じていて自分の周囲の人々を
いろいろと調べまわっていたようなの。

へええ?やはり殺されたのかな?
でも誰が、どんな理由で彼女に
手をかけたんだろうな。
『白薔薇殺人事件』
クリスティン・ペリン (著), 上條 ひろみ (翻訳)創元推理文庫
あらすじ
ミステリ作家の卵であるアニーは、会ったことのない大叔母、フランシスから彼女が住むキャッスルノールへ招かれた。
フランシスは16歳の頃、占い師による「いつかお前は殺される」という予言を信じ続ける奇妙な老婦人として現地で有名だった。
アニーが屋敷に到着すると、フランシスは図書室で死んでいた。
両手には血の跡、そして床には白い薔薇が落ちていた。
フランシスが残した、親族や村人たちの調査資料をもとにアニーは大叔母フランシスの死の謎に挑む。
予言を信じた大叔母を殺害した犯人とは
画家である母と、資産家の大叔母が所有するロンドンの家で二人で暮らしているアニーは、会ったことのない大叔母から遺産についての話があるためキャッスルノールへ来てほしい、と招かれます。
「殺される」という予言をひたすら信じ続け、親族や村の人々を調べてはデータをまとめていたという、少々変わった人物です。
ところが、屋敷の図書室で大叔母のフランシスは死んでいたのでした。
その後、弁護士から伝えられたフランシスの手紙は、自分の命が殺人によって終わること、フランシスの義理の甥であるサクソン、あるいはアニー、二人のうち自分を殺した犯人を見つけたほうに自分の財産を遺すこと、ただしどちらも見つけられなかったり警察などの第三者が先に犯人を見つけた場合は、不動産売却業者オリヴァーに地所のすべてをゆだね売却する、といったことが書いてありました。
アニーは若き日のフランシスが綴っていた日記と、彼女が様々な人々を調査していた資料をもとに犯人探しに挑みます。
まとめ
アニーがキャッスルノールで推理を働かせる現代と、フランシスが予言を受けた当時、十六歳、十七歳頃の話が同時並行に進んでいきます。
アニーが気になった花束の送り主や花の棘、そしてはじめて訪れるキャッスルノールの親族やフランシスの知人たちは誰もが何かを隠しているようにも見えます。
怪しい素振りの裏にある驚きの真実がいくつか明らからになった後、ついにアニーは真犯人へとたどりつくのですが…。
登場人物は多いもののそれぞれ個性があり特にフランシスは少女から老女までじっと考え込む思慮深い姿が目に浮かぶようです。
じっくりと丁寧に練られた構成はドキドキさせながら結末へと導いてくれます。
現代ミステリでありながらクリスティをほうふつとさせるような、正統派の犯人当てミステリーです。
<こんな人におすすめ>
資産家の大叔母が亡くなり遺産相続を絡めた犯人探しをするミステリを読んでみたい
登場人物の人間関係が複雑に絡み合うトリックが見事な本格ミステリに興味がある
クリスティン・ペリンのファン


わああ フランシス…
こんな事実を抱えながら生きて
きたなんて。アニーも彼女と
話をしたかっただろうなあ。

フランシスとアニー、二人の
生きてきた足取りと様々な
出来事への思いが丁寧に
描かれたミステリーね。
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