
こちらは相手の未来が見える
中学校の教師がある事件に
巻き込まれていくお話よ。

どんな事件に巻き込まれるんだ?

生徒の父親が何者かに拘束
されていることを知るの。
父親と知り合いだという
あるサークルのメンバーたちと
彼を救出しようとするの。

ふむふむ。未来が見えるなら
その能力を使ってうまいこと
助けることができるといいんだが。
『ペッパーズ・ゴースト』伊坂 幸太郎 (著) 朝日文庫
あらすじ
中学校で国語を教えている教師、壇は生徒の布藤鞠子が書いた小説を読み、戸惑っていた。
猫を愛する奇妙な二人組が猫虐待サイトを支持する人間に制裁を加える物語。
やがて小説と現実世界が混ざり合っていく。
未来を見る能力を持つ壇先生は、迫りくる世界と自分への危機を救うことができるのか。
未来を見る力でこの世界を救えるのか
近くにいる相手から飛沫感染を受けると、その相手の未来が見えるという体質を持つ、中学教師の壇。
生徒が新幹線の脱線事故に巻き込まれる画像を見た壇は「知り合いの占い師が」という体で生徒に連絡します。
実際に事故が起こり、乗る時間を変えた生徒は無事で安心していたところ、生徒の父親からお礼を言いたいので会ってほしい、と言われる壇。
約束が叶わぬ状態が続き、生徒に聞けば父親は出張が長引いていると言うのですが、父親が加入しているというサークルのメンバーから壇に連絡が入ります。
どうやら「自分に何かあったらこの人に連絡してほしい」と壇の連絡先を彼らに渡していたようなのです。
そのサークルには、五年前に起こった人質立てこもり事件の被害者の家族や関係者たちが集まっていました。
なぜ自分の連絡先が伝えられたのか、その意図はつかめぬまま彼らとともに父親の行方を探そうとする壇ですが…。
一方、布藤鞠子が「読んでほしい」と何度となく壇に持ってくる小説は、猫虐待サイトに関わった人間に、猫好きの二人の男が制裁を加えていくという内容。
暴力的な描写もあり、この生徒にそぐわぬ内容ではと首をかしげる壇ですが、次第に現実の出来事とリンクしていきます。
まとめ
未来は見えるけれど、万能に人間を救えるわけではないことに無力感と葛藤を生じている壇。
メディアの過剰な伝達が原因で家族が事件の被害に遭ってしまった人々。
金をもらって猫をいじめる人間たちに罰を与えていく二人組の男たち。
個性豊かで少々現実離れした部分も持つ彼らがそれぞれの目的と価値観を持って動き、ぶつかることで予想外の化学反応を起こし続けます。
予測がつかないスピーディーな展開で最後まで一気読み必至の物語です。
<こんな人におすすめ>
他人の未来が見える中学教師が事件に巻き込まれていく物語に興味がある
中学教師と謎の二人組、ある事件の被害者家族が絡み合う予測不能なエンタメミステリを読んでみたい
伊坂 幸太郎のファン


何がどう関わっていくのかが
理解できたとたんに
おもしろさが加速していくな!

少しの違和感を持たせつつ
ほんのりとした悲しみや諦めを
漂わせながらスピード感ある展開で
一気に読ませるエンタメ小説ね。
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