こちらは依頼を受けて
「ご先祖様」を調査する
先祖探偵が活躍する
ミステリーよ。
ご先祖様!!どういう事情で
先祖のことが知りたいんだ?
戸籍は存在するけれど
生存しているかが不明な祖父、
息子が先祖の祟りにあっているの
かも、などといった理由ね。
戸籍の問題か!
現実でもわりとありそうな話だ。
主人公はどうやって先祖を
たどっていくんだろう。
『先祖探偵』新川 帆立 (著)ハルキ文庫
あらすじ
谷中銀座から一本入った道沿いのビルで探偵事務所を構える邑楽風子。
ジーンズしか穿かず、天涯孤独の身である彼女の調査対象は「ご先祖様」。
彼女のもとには様々な依頼人がやってくる。
市役所の人間が訪ねてきたことで知った祖父のことを探し出してほしい、夏休みの課題で家族史を作るので中学生の娘といっしょに取り組んでほしい、先祖の祟りかもしれないので調べてほしい…。
全国各地を巡り、その土地の味を楽しみながら先祖とつながる糸を探っていく異色のご先祖ミステリー。
先祖を探る中 意外な事実が…
幼い頃に母と生き別れ、以来天涯孤独の身である邑楽風子は、依頼人の先祖をたどる「先祖探偵」を生業としています。
事務所へとやってきた依頼人、甲斐裕翔は今年で百十一歳になるらしい曽祖父の甲斐三郎を探してほしい、とのこと。
宮崎の市役所の職員が裕翔を訪ねてきて、三郎が生きていれば百十一歳で日本最高齢の男性となる。
町おこしの一環として表彰したいので会わせてほしいと言ったのだとか。
本籍地に本人は見当たらず、住民票や戸籍謄本も残っている状態。
風子は三郎が既に他界している『幽霊戸籍』である可能性も説明したうえで、調査のために宮崎へと向かいます。
三郎と妻のトキ子が暮らしていた本籍地へと車を走らせますが、そこは廃屋と化していました。
近くに住むという、当時のことを知る老人に、アルバムの写真を開きながら話をしていると、老人は三郎を指さし「トキトウさんだわ」と発言。
三郎はトキ子の二番目の夫で、トキトウは最初の夫。
老人の単なる記憶違いなのか、それとも…。
時任家に向かった風子は驚くべきものを目にする。
まとめ
先祖をたどることに特化した「先祖探偵」風子。
戸籍についての様々なルールや問題点に触れながら、人と人のつながりを知る不思議さも感じていきます。
調査をする風子自身は天涯孤独な人間であると思っていたところ、少しずつ自分のルーツにつながるヒントを掴んでいきます。
そして人間は人と人のつながりがあってこそ存在するもので、真に孤独であることは不可能なのでは、と考えます。
つながりを持つ、知るということが生きていくうえでの重りとなり、また支えともなるのだということを教えてくれる、読後に深い余韻を残す物語です。
<こんな人におすすめ>
先祖を専門に調査する探偵の物語に興味がある
天涯孤独でハードボイルドな女探偵が活躍する話を読んでみたい
新川 帆立のファン
会ったこともないのに
つながりを感じるご先祖様の
不思議…。
孤独でハードボイルドな
女探偵が、人とのつながりを
探っていくという点も注目ね。
この世に今は一人でも、必ず
誰かとつながっていたということが
感じられる物語ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。