のこ
こちらは戦後の差別を描いた
物語よ。
ぬこ
差別か。日本国内のこと?
それとも外国?
のこ
最初は日本、そしてニューヨークへ
移るの。日本人女性と黒人男性
夫婦のお話よ。
ぬこ
ニューヨークで黒人か。
そんなにひどい差別があるのかな?
『非色』 有吉佐和子 (著) 河出文庫
あらすじ
戦後間もなく、仕事先で知り合った黒人兵・トムと結婚した笑子。アメリカへ戻った夫を追い、幼い娘を連れ、ニューヨークへ。
彼女たちを待っていたのは、貧民街にある半地下の、狭いアパートでの暮らしだった。差別とは何かをアメリカの内側から描いた物語。
夫を追い、ニューヨークへと渡った笑子だが
結婚後、トムと2人で豊かな暮らしをしていた笑子。しかし、娘が産まれた後、2人の関係は少しずつ変わっていきます。トムがアメリカへ戻った後、英語を活かした仕事に就こうとする笑子ですが「黒人訛りがある」と言われ、断られます。
夫のいるニューヨークへ到着しますが、そこはハアレムと呼ばれる貧民街。日本では豊かな暮らしを提供できたトムですが、ここではギリギリの生活。笑子は早速仕事を見つけ、決して高くはない賃金で働きはじめます。
やがてより給料の良い日本食レストランで働きはじめるのですが、そこには複雑に重なった層のように、細かな差別が漂っているのでした。
まとめ
貧困は人を無気力にしますが、自分よりも貧困な層を差別することでエネルギーを得ることも。そんな中で体を張って、差別の価値観に呑みこまれまいとする笑子の力強く凛とした姿に、心揺さぶられる物語です。
<こんな人におすすめ>
アメリカの差別の実態を描いた話を読んでみたい
差別をいろんな観点から描いた小説に興味がある
有吉佐和子のファン
リンク
ぬこ
アメリカの差別も複雑な
層に分かれているんだな。
のこ
差別に飲み込まれることなく
立ち向かっていく主人公の
姿が胸を打つわね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。