こちらはある家族が崩壊する
スイッチを持たされたメンバーが
様々な悪意を知り、考える物語よ。
ええ〜?家族が崩壊するスイッチなんて
誰も押さないんじゃないのか?
ところが押さなくてもいずれその家族は
経営する店が潰れてしまう状況なの。
つまり押しても押さなくても同じ。
であれば押しても構わないのでは?
という心理実験なのよね。
うう〜ん にしてもなあ。
スイッチを握っているメンバー、
そして対象の家族はどんな人たちで
何を考えているんだろうな。
『スイッチ 悪意の実験』潮谷 験 (著)講談社文庫
あらすじ
私立狼谷大学の二回生である箱川小雪は、先輩の香川霞に声をかけられ、友人の三島大我、桐山玲奈とともに、あるアルバイトに参加することになった。
1か月の間スイッチを持たされ、押すのも押さないのも自由。
どちらにしろお金は支払われる。
ただしそのスイッチは「ある家族が崩壊するスイッチ」で…。
一家の運命を握るバイトメンバーの間で様々な葛藤や問題が浮き彫りになっていく。
スイッチを握ることで小雪が知った「本当の悪意」とは。
そのスイッチに委ねられた一家の運命
バイトの雇い主は心理コンサルタントの安楽是清。
小雪、大我、玲奈、香川、そして大学の勤行館職員の茂木の5人のメンバーは、安楽に連れられ、一軒のパン屋へ向かいます。
一家で経営するパン屋のロケーションはかなり良いのですが味は普通。
家族は仲が良さそうに見えました。
パン屋を辞した後、安楽はバイトのメンバーにあるアプリをインストールさせます。
それはスイッチのアプリで1か月の間スマホに入れておくこと、押すときは各自の誕生日であるパスワードを入れてから押すこと、押しても押さなくてもバイト代は支払うことなどを説明。
そしてスイッチを押して起こることは、パン屋への支援を止めることだと言います。
そして支援を止めれば確実に店は潰れ、一家は路頭に迷うことになるだろう、とも。
人の悪意というものを知りたいという、安楽の心理実験に、最初は皆戸惑い、小雪も他のメンバーも押さない、と考えていました。
しかし、小雪はパン屋の主人の顔にどこか見覚えがあるような気がしていました。
それが誰だったかを思い出したとき、小雪が現在物事を決断するやり方のきっかけを作った人物だったことを知ります。
また、いい雰囲気だった大我と玲奈ですが、ついに大我のほうから告白したという話を聞き、嬉しさとともに寂しさも感じる小雪。
ところが玲奈は浮かない顔。
玲奈にも胸に抱えているものがあるようで…。
まとめ
いつ押してもいい、ある一家の運命を握るスイッチ。
押さなければ問題ないのでは?と思ったら何やら事情が隠れていそうな一家の様子。
バイトに参加した友人らも人には言えない苦しみを抱えていたり。
どうなる?どうなる?とドキドキしながら読み進めればあちこちで意外なつながりがあり、そこから驚愕の展開にひた走ります。
悪意と善意はコインの裏と表。
そんな風に感じられる、疾走感溢れるミステリー。
<こんな人におすすめ>
一家を崩壊させるスイッチを一ヶ月持たされるバイトの話に興味がある
心理実験から思わぬ事態に展開していくミステリーを読んでみたい
潮谷 験のファン
えええ!?あの人とあの人が
こんな風につながってたのか!?
しかし悪意ってやつについて
よくよく考えさせられるぜ…。
予想もつかない展開に
ページをめくる手が
止まらなくなってしまう物語ね。
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