こちらは平凡な棒手振りの
八五郎が何故か様々なトラブルに
出くわし巻き込まれていく物語よ。
トラブル?たとえばどんな?
江戸を騒がす幽霊剣士や
正義の盗賊、隠密の忍者など
彼らの行動を目の前にするのだけど
どれもが八五郎の知る人物なの。
ええ〜〜!?そんなことってある!?
それにしたって大ごとに巻き込まれ
すぎなんじゃないのか?八五郎って
いったいどんな奴なんだろう。
『実は、拙者は。』白蔵 盈太 (著)双葉文庫
あらすじ
深川の長屋に住む棒手振りの八五郎は、実入りは少ないが気ままな一人暮らしをしている平凡で地味な男。
ある夜、巷で噂となっている幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が人を斬る現場に出くわす。
剣士の正体は八五郎が良く知る人物だった。
お上に知らせるべきかと悩む八五郎は次々と思いがけない真実を知り、騒動に巻き込まれていく。
噂の幽霊剣士は長屋のお隣りさん!?
見事な剣さばき、人とは思えぬ動きで話題となっている「鳴かせの一柳斎」ですが、その正体を知る者はおらず、世の人々を騒がせていました。
そんな一柳斎が旗本を襲う現場に出くわした八五郎は物陰に潜み、その剣さばきに見とれますが同時にその正体が隣に住む浪人、雲井源次郎であることに気づき驚きます。
同心である村上に市井の不穏な情報を伝える「犬」でもあるため、このことを伝えるか悩みますが、何かの間違いかも、とまずは雲井のあとを尾け様子を探ることに。
八五郎は以前、人から全く注目されない性質を活かし、人の出入りの多い商家に入りその店の人間であるかのような顔をして帳場をあさり、小銭を盗んでいたのでした。
とうとうつかまった八五郎はもう二度と盗みはやらない、と訴え村上は罪を見逃すかわりに「犬」になるように八五郎へ命じたのでした。
ある日、大工の辰三が緊迫した様子で姿を見せ、「浜乃ちゃんが借金のかたに売り飛ばされるかもしれねえ」と言います。
飾り職人の藤四郎が尾黒屋から借り入れた金の利子が膨れ上がってしまい、八五郎がひそかに思いを寄せている娘の浜乃が差し出されるということに。
五十両という金額にひるみ、藤四郎はあきらめるしかない、と肩を落とします。
何とかできないかと行動を起こした八五郎は、またも驚愕のある「モノ」を見つけてしまい…。
まとめ
主人公は人に認識されない、ひたすら地味な八五郎ですが彼の周囲はよくぞここまで集まった、というほどエース級の顔ぶれで、そりゃあもう皆さんめちゃくちゃカッコいいのです。
結果、八五郎の弱さや善人の一般人というごく普通の一面が強い光の中でポッと小さく、そして優しく輝いて見えるのです。
裏の顔を持つ者たちが抱えるもの、使命もしびれます。
剣を交えるシーンは迫力満点でドキドキが止まりません。
キャラ設定、スピーディーな展開、予想外かつ大団円の結末とどこをとっても大満足のエンタメ時代小説です。
<こんな人におすすめ>
伝説級のすごい人物がゴロゴロ登場する歴史小説に興味がある
地味で目立たないゆえに活躍する男が主人公の物語を読んでみたい
白蔵 盈太のファン
オールスター登場で主人公が
一番地味っていうのがおもしろい!
第一級のエンタメ時代小説だな!!
主人公級が渋滞しているのだけど
皆がそれぞれに個性と能力を
生かした活躍ぶりだから
安心して楽しめる物語ね。
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