こちらはメキシコの麻薬カルテルで
活躍したバルミロが日本で
新たなビジネスを始めるの。
そこに、川崎で生まれ育った少年
コシモが巻き込まれていくお話よ。
麻薬カルテルとか!やばそうな
奴だな。日本で始める仕事ってのも
相当危険なヤツなんじゃないの?
バルミロは滅亡した王国、
アステカの神を信仰しているの。
逆らう者の命を容赦なく奪い
その心臓をえぐり出し神に捧げるわ。
コシモはその体格と身体能力を買われ
バルミロの下で働くことになるの。
ちょっと!!こわいこわい!!
そんなのが日本でビジネス始めたら
死体の山ができちゃいそうだって!
コシモも仲間になっちゃうのか…
『テスカトリポカ』佐藤 究 (著)角川文庫
あらすじ
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロは敵対組織の攻撃を受け、ジャカルタへ逃亡し身を潜めていた。
そこで日本人の臓器ブローカーと知り合い、日本に渡り新たなビジネスを開始。
一方、川崎で生まれ育った少年、コシモはバルミロにその力を見出され、彼らのビジネスをめぐる犯罪に巻き込まれていく。
悪魔のビジネスの裏には滅亡した王国、アステカの神の影が潜む。
麻薬密売人と孤独な少年を古代神がつなぐ
裏切り者はためらいなく殺害する。
そんなバルミロはアステカの神を信仰する祖母によって育てられ、その教えを受けてきました。
麻薬カルテルに君臨しましたが、敵対組織に襲われ兄弟や家族を殺されます。
何とか逃げのびたバルミロはエル・コシネーロ(調理師)と名乗りジャカルタで潜伏中に日本人の臓器ブローカーと知り合います。
売主へと臓器提供者を運ぶ仕事をしている末永は、かつて心臓血管外科医でした。
外科医に戻りたい末永と別の地で新たなビジネスを始めたいバルミロは、手を組んで日本へと向かいます。
一方、食事も作ってもらえず、学校にも行っていない状況で育った少年コシモは銀細工職人パブロのもとで技術を学んでいました。
パブロの品物を納品した時にバルミロに見出され、彼のビジネスに協力するため暗殺者としてのトレーニングを受けます。
バルミロはコシモを自分の息子のように可愛がり、彼にアステカの神の教えを伝えます。
やがてバルミロのビジネスが軌道に乗りはじめた頃、末永が奇妙な動きをしていることにバルミロは気づきます。
また、ビジネスの一部に協力していたコシモにもある変化が訪れて…。
まとめ
神に血を捧げるという信念のもと、一瞬のためらいもなく人を殺し、その心臓を取り出し顔の上に載せ、祈りの言葉をかけるバルミロ。
愛や人との関わりを知らずに育った孤独な少年コシモ。
黒い世界で出会い、アステカの神を信仰し二人はつながります。
バルミロの冷血加減やコシモの爆発的なパワーに対抗できる人間はこの世に存在しないのではないかと思うほど。
騙し合い、殺しあうやりとりの中で、圧倒的な彼らのその存在感と力は恐ろしくもありますが、目を離すことができません。
神を崇拝し続けるバルミロと、類を見ない力と能力を持つコシモのどこまでも純粋な心が深く胸に刺さる物語です。
<こんな人におすすめ>
古代アステカの神を崇める闇の世界に生きる男を描いた話に興味がある
孤独な少年が自分を認められ事件に巻き込まれていく話を読んでみたい
佐藤 究のファン
バルミロは怖くて残忍だけど
神に対して一途なんだよな。
彼の信仰を貫いているわけだ。
それにしてもコシモの純粋さよ。
なんかいろいろ超越してる。
神の存在って何なのかしら。
案外身近にいるものなのかも
しれないと感じる物語ね。
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