こちらは昭和30年代の団地暮らしを
再現するリアリティ番組に参加した
家族に起こる様々な出来事と
過去に団地で起きた事件がリンクする
イヤミスよ。
へえ〜 リアリティショー?
昭和の団地暮らしって
どんな感じなんだろう。
当時の家電を用意して見た目の
スタイリングや買い物方法なども
忠実に再現するの。オーディションで
二組の家族が選ばれ参加するわ。
その二組の家族の暮らしぶりを
対比させるわけだな。でもまあ
選ばれた同士で仲良く交流したり…
しないのか?イヤミスは。
『極限団地:一九六一 東京ハウス』真梨 幸子 (著)新潮文庫
あらすじ
昭和30年代の時代にタイムスリップし、当時の生活を体験してみませんか。
出演の謝礼として500万円をお支払いします…。
テレビ局の特別番組の公開リアリティショーに選ばれた二組の家族と番組スタッフは当時の面影を残す築60年の広大な団地に集結。
不便ながらも希望に満ちた暮らしを送るはずだったが、不倫や失踪など思いがけない状況に。
そして団地で起こった過去の惨劇が明らかになる。
古き良き昭和の暮らしを送るはずだったが…
オーディションを経て見事選ばれた和佳子の家族は、夫、小学五年生と三年生の娘二人の四人家族。
団地に到着し、細かいルールを説明されます。
夫はここから会社へ、娘たちは小学校へと通うことに。
名前は「ヤマダ」とされ、当時を復元した間取りの部屋に驚きます。
トイレットペーパーがないことに気づき、団地内のショッピングセンターを探しますが見つからず困り果てていたところ、もう一組の家族である「スズキ」さんの奥さんに声をかけられます。
トイレを借りに、スズキさんの部屋に上がらせてもらうと、和佳子たちの住まいとはだいぶ様子が違います。
インテリアもしゃれていて、家電は当時の中でもグレードの高いもののようです。
スズキさんは作家の夫と四歳の息子と八ヶ月の娘の四人家族。
これをきっかけに和佳子はスズキさんの家をひんぱんに訪れるようになります。
順応力が高く、今の暮らしを楽しんでいる様子の和佳子とその家族をモニターで見ていた女性ディレクターが、「ヤマダ家、設定を変えたほうがいいんじゃない?」と言い出します。
そんなタイミングで、スズキさんの奥さんの本性が現れてしまう出来事が…。
家族を揺るがす衝撃の出来事、そしてネットの掲示板に書かれていた、60年前にこの団地で起こった連続監禁殺人事件。
非日常の環境に置かれた家族の狂気が新たな事件と過去の忌まわしい事件を掘り起こします。
まとめ
昭和時代の暮らしを二組の家族が体験するリアリティショー。
制作側の「画的におもしろい」場面のためにその期待に応えようとしてしまう家族のおかしさを描いているのかと思いきや、その裏には過去に事件が巧妙に潜んでいます。
またそれも一筋縄ではいかなくて…とマトリョーシカのように次々と事実が明らかになっていく展開はさすがです。
予測のつかない悪意の渦に巻き込まれ呆然としてしまうイヤミスです。
<こんな人におすすめ>
昭和の団地生活を体験するリアリティショーを描いた物語に興味がある
家族に潜む問題と過去に起こった事件が複雑に絡み合うイヤミスを読んでみたい
真梨 幸子のファン
うえ〜〜 悪そうな奴が
意外とそうでもなかったり。
本当に後から後からいろいろ
出てくるから夢中でページを
めくっちゃうんだよな。
出来事の裏に隠された真実と
それを操る人物が明らかに
なったとき、驚かずには
いられない衝撃のイヤミスね。
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