ひと目でわかる!イラストブックレビュー
 『血腐れ』矢樹純 (著)

のこ
のこ

こちらは身近な者の災難に

よって明らかとなる真相を

描く六篇のホラーミステリーよ。

ぬこ
ぬこ

ええ〜 怖いやつ?

呪いとか幽霊とか?

のこ
のこ

そうね。そういった現象も

起こるけれど、思っていた

ものとは違った理由が判明するの。

ぬこ
ぬこ

なるほど!怪異現象でホラー、

意外な真相でミステリーという

わけだな!

『血腐れ』矢樹純 (著)新潮文庫

あらすじ

弟とその二人の子どもたちと一緒にキャンプへとやってきた幸菜。

弟・伸彰の妻である麻実は仕事で来ることができないため、十一歳の姪の夏葵と九歳の甥の侑悟の面倒を見るのを手伝ってほしい、と母から頼まれやってきた。

何かに憑かれたように鉈を振るう伸彰の姿に普通ではないものを感じる幸菜だが…(「血腐れ」)。

身近な者の死や災難の先に見えてくる真相を描く六編のホラーミステリー。

妻と不仲の弟が見せる不穏な態度

転職した伸彰は収入が減り、高収入で気の強い妻の麻実ともぎくしゃくしている様子。

そんな中、伸彰が子ども二人を連れてキャンプをしにくると言います。

実家で暮らし、フリーのWEBライターをしている幸菜は、母親に言われて伸彰たちのキャンプへ参加することに。

現地集合とし幸菜は子どもたちとテントを貼り、伸彰はコンロの準備で流木を集め、鉈を振るいます。

弟のタオルに血がついているように見えた幸菜が指摘すると、伸彰は慌てた様子で否定します。

そこで幸菜はもしかしたらキャンプ場の裏にある神社に伸彰は行ったのではないか、と思いあたります。

縁を切りたい相手の血を捧げると、縁だけではなく相手の命を絶つことができると言われている神社に、伸彰は妻である麻実の血がついたものを捧げていたのではないか。

そんな思いにとらわれた幸菜でしたが…。

まとめ

かつて自分も縁切りを希望し、半分だけ願いが叶った幸菜。

伸彰はそれを知ってうまくいっていない妻との関係を切ろうとしたのではないかと考えますが、真実は思いもよらぬ形で明らかになります。

表題「血腐れ」ほか、霊や呪いなど恐怖を呼ぶ存在たちが姿を見せ訴えようとしたことは、予想外の真実たち。

背筋が凍る恐怖と不穏な空気が漂う序盤から一転、ミステリーのごとく視点が変わる結末への展開は実に鮮やか。

悲しみや憎しみは表に見える一面からでははかりきれない思いが潜んでいるのだと思い知らされる、ホラー・ミステリー短編集です。

<こんな人におすすめ>

身近な者の死によって起こる不穏な現象や恐怖を描いた物語に興味がある
死者や恐ろしい現象が伝えようとする意外な真実に驚く話を読んでみたい
矢樹純のファン

ぬこ
ぬこ

こ、これは…!!

この現象にこんな理由が潜んで

いたとはビックリ(・・;)

生きてる人間のほうがタチ悪かったり

することもあるよなあ。

のこ
のこ

怪異現象は未知の存在が

何かを知らせてくれていると

いうことなのかもしれないわね。

ホラーとミステリーが見事に

融合した物語ね。

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