ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『両手にトカレフ』ブレイディ みかこ (著)

のこ
のこ

こちらは貧困家庭で暮らす女子中学生が

日本人女性の回顧録に共感を受け

さらにラップのリリックを

手がけることで自分と周囲の状況が

変化していく物語よ。

ぬこ
ぬこ

中学生女子の貧困家庭かあ。

家族はどうなってるんだ?

のこ
のこ

父親はいなくて、母親は仕事を

していないで生活保護のお金も

薬物に使ってしまうの。

小学校低学年の弟の面倒を見ながら

日々の食事にも苦労している

生活を送っているの。

ぬこ
ぬこ

母親がその状態っていうのは

結構なハードモードだな。

食事も満足にできないなんて…

そんな状況で生きる彼女が

どんなリリックを書くのか。

『両手にトカレフ』ブレイディ みかこ (著)ポプラ文庫

あらすじ

寒い冬の朝、お尻が見えるほど短いスカートを穿いたミアは図書館で一冊の本と出会う。

カネコフミコの刑務所回顧録というその本の内容は、何故かミアには身近に感じられた。

同級生には話せない現実に苦しむミアは、ある日ウィルに話しかけられラップのリリックを書いてほしいと頼まれる。

ミアの中に少しずつ表れはじめた変化とは。

身近に感じられた日本人女性の自伝

中学生のミアは母親と8歳の弟チャーリーと三人で暮らしています。

母親は働いておらず生活保護で受けたお金を薬物に使ってしまったため、姉弟はお腹をすかせていました。

子供たちが成長して制服の丈が短くなっても買い換えるお金がないため、ミアもチャーリーも小さくなった制服を着ています。

図書館で出会ったカネコフミコの人生を描いた物語は、遠い日本での話でありながらミアには身近に感じられる部分がありました。

働かない大人や暴力、女たちの諦め。

それはミアが住む団地でもドラッグやDV、窃盗で何度も刑務所を出たり入ったりしている人が何人もいて、その世界とよく似ていたのです。

具合が悪くなった母の面倒を見たり、幼い弟を毎日小学校へ迎えに行き、少ない食糧から食事を準備して食べさせる。

同級生たちとあまりに異なるこの家庭状況を友人に話すことができませんでした。

そんなある日、ラップを作っていて人気のあるウィルから「僕と一緒に、ラップを作らない?」と誘われるミア。

一度断ったものの、何度もウィルから誘われて…。

まとめ

子供のことを見れない母親、食事もままならない貧困、中学生の姉が弟と母の面倒を見るヤングケアラー。

そんなぐらぐら揺れる吊り橋の上で成り立っている状況のミアの家庭。

そんな環境でもソーシャルワーカーに現状がバレてしまうと一家がバラバラになります。

とりわけ弟と離ればなれになり施設に入るのはごめんとばかりに、ソーシャルワーカーの前では不便はないとミアは演技します。

そんなミアがカネコフミコの自伝に出会い、不条理な現実への怒りをラップのリリックに乗せることで彼女自身と周囲の状況に変化が訪れます。

外の世界へ向かう力があること、諦めないこと。

辛い現状を抜け出すために必要な、大切なことを教えてくれる物語です。

<こんな人におすすめ>

貧困に苦しむ少女が日本人女性の伝記と出会い自分と近く感じる物語に興味がある
同級生からラップのリリックを頼まれたことで少しずつ変化していく少女を描いた話を読んでみたい
ブレイディ みかこのファン

ぬこ
ぬこ

ミアの強さはカネコフミコの

自伝がさらに力を加えて

くれたんじゃないだろうか。

のこ
のこ

怒りも苦しみも力に変える

ことができたのは

外の世界に行けると信じ続けられた

からなのかもしれないわね。

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