ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『同志少女よ、敵を撃て』逢坂 冬馬 (著)

のこ
のこ

こちらはドイツ軍により

家族を失った少女セラフィマが

赤軍に助けられ狙撃兵として

訓練と実践を重ねていく物語よ。

ぬこ
ぬこ

狙撃兵!兵士を支援するんじゃなくて

実際に敵兵を殺していくのか!

この時代の女性兵士って珍しいんじゃないか?

のこ
のこ

彼女たちの技術は優れたものだったけれど

兵士としての地位や扱われ方は

必ずしもきちんとしたものとは

言えなかったようよ。そして敵軍と戦う

うちに「本当の敵」について考え始めるの。

ぬこ
ぬこ

ううむ。戦争というシチュエーションは

敵軍を攻撃して殺すという以外にも

いろんな人が苦しむ側面があるんだろうな。

『同志少女よ、敵を撃て』逢坂 冬馬 (著) ハヤカワ文庫JA

あらすじ

1942年。

モスクワ近郊の農村で母とともに狩人として暮らしていた18歳の少女セラフィマ。

彼女の日常は、村を急襲したドイツ軍によって奪われた。

彼女自身も殺される寸前、赤軍兵のイリーナに救われ復讐のために狙撃兵になることを決意。

同じ境遇の少女たちとともに訓練を重ねたセラフィマたちは、やがて戦場の前線へと立つ。

数々の戦いを重ねた彼女たちにとっての「本当の敵」とは。

復讐のために狙撃兵になることを決意

突然襲ってきたドイツ兵により村人たちは惨殺されます。

狩りに出ていたセラフィマと母親は離れた場所から異変に気付き、敵に見つからないようライフルを構えます。

しかし発砲しない母に違和感を覚え視線を移すと母の額には弾丸が。

敵に見つかりセラフィマ自身も銃殺されようとしていたその時、赤軍兵によって助けられます。

呆然としているセラフィマの前に現れた美しい女兵士、イリーナはセラフィマに尋ねます。

「戦いたいか、死にたいか」。

「死にたいです」と答えたセラフィマの前で、イリーナは彼女の家族の思い出がつまった食器を次々に叩き壊します。

果ては母親の亡骸に火をつけ、再び「お前は戦うのか、死ぬのか!」とセラフィマに問うイリーナ。

「ドイツ軍も、あんたも殺す!敵を皆殺しにして、敵を討つ!」と叫びます。

セラフィマはイリーナが指導する少女たちで構成された狙撃兵として訓練を重ねます。

同じような境遇の少女たちと共に厳しい指導を受けやがて戦場へくり出す彼女たちが見た敵軍、そして同志たちの命と戦争とは。

まとめ

感覚を研ぎ澄まし、敵の動きや心理を読みながら緻密に作戦を決行していく少女たち。

彼女たちは一人一人がそれぞれの思いを胸に銃を構えています。

狙撃兵という立場での戦い方の、全方位に気を配る細やかさに驚きます。

一方で戦争における女性の立場や受ける扱いに衝撃を受けます。

生死をかけた戦いの中で高揚した兵士たちは当然のように女性をレイプしますが、少女たちの狙撃兵はその光景を目にして不快感が高まります。

赤軍兵として、一人の女性、人間として戦い多くの生死に関わってきた少女の「戦争」を描く、多くの人に読んでもらいたい物語です。

<こんな人におすすめ>

第二次世界大戦中、狙撃兵として戦場に立った少女の物語を読んでみたい
人の命とは何か、女性からみた戦争とは何なのかを描いた話に興味がある
逢坂 冬馬のファン

ぬこ
ぬこ

訓練の過酷さ、人を殺す感覚、

敵を倒すための知恵と忍耐力。

一人の少女が経験するには

あまりにも壮絶。女であるがゆえの

苦しみも相当なものだな。

のこ
のこ

突然に奪われていく命たちや

戦場で生まれる敵兵との共感。

この中で生き続けていくことの

苦しさや葛藤に思いを巡らせずには

いられないわね。

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