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こちらは前作『お梅は呪いたい』に
続く第二弾よ。新たな能力を得た
お梅が呪いのリベンジに挑むの。
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おお!すごいな。
どんな能力を手に入れたんだ?
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十秒間だけ浮くことができるのと
体と頭を切り離して動かすことが
できる能力ね。
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わあ すご…?
十秒ってのもまた微妙な…。
ま、まあパワーアップした
お梅の活躍に期待しよう。
『お梅は次こそ呪いたい』藤崎 翔 (著)祥伝社文庫
あらすじ
五百年の眠りについていた、戦国時代に呪いの人形として活躍したお梅は長い間封印されていたが現代に蘇った。
張り切って呪い殺そうとするが現代人の健康状態や精神状態が戦国時代の人間と異なるためか、呪いが効かないどころか幸福になる始末。
新たに空中浮遊や胴体分離の能力を手に入れたお梅は、決意も新たに呪いのリベンジに挑む。
新しい能力を手にしたお梅が挑んだ相手は
誰か自分を拾う人間はいないかと閑静な住宅街をさまよっていたお梅は、住宅の解体現場に遭遇。
その家の二階からお梅の頭の中に話しかけてきたのは、兜をかぶった首だけの人形でした。
お梅と同様に呪いの人形として活躍していたがこの家とともに破壊されてしまうため、その前に自分の能力をお梅に託したい、と言います。
こうしてお梅は十秒間だけ浮遊できる能力と、首と胴体を別々に動かせる能力を手に入れます。
この微妙な能力をどうやって活かそうかと考えるお梅の前に、小さな女の子が表れ拾い上げます。
この子供を呪い殺そうとほくそ笑むお梅。
幼稚園の年長である未央は名門小学校の受験を控えていますが、リモートワークになった父親の淳平と母親の恵が毎日のようにケンカをすることに心を痛めていました。
状況を把握したお梅はこの一家を崩壊させるべく瘴気を放ち、夫婦のマイナス感情を高めます。
ますます険悪になった夫婦に、娘の受験が失敗すればかなりのダメージになるだろうと首だけの姿で淳平の胸ポケットに潜み面接会場へと入り込むお梅ですが…。
まとめ
十秒間の浮遊と、首と胴体を別々に動かせるという、劇的でもない能力を使って人を呪おうとがんばるお梅。
お受験を控えた一家や反抗期の息子がいる母子家庭、二世帯住宅など人形目線で語られるユーモアで楽しませつつ、前回よりもシリアスな題材と構成で「読ませる」作りになっています。
頑張っていて能力もついているのに結果が出ないお梅は気の毒ではありますが、人間には案外、自浄作用が備わっているものなのかもなあと感じるシリーズ第二弾です。
<こんな人におすすめ>
戦国時代に活躍した呪いの人形が現代に復活して活躍しようとする物語に興味がある
空を飛んだり、頭と胴体が離れる能力を身につけた人形が人間を呪おうとする物語を読みたい
藤崎 翔 (著)のファン
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頑張っているのに!
能力もあるのに!
何だろう、この人間が幸せに
なってしまう仕組みは。
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今回はシリアスな題材も加わり
緩急をつけた展開で、より面白さが
深まった構成になっているわね。
次のお梅の活躍に期待したいわね。
前作「お梅は呪いたい」のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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