
こちらは秘密を抱えた
ミステリ作家が書いている話と
重なる事件の真相を追い求める
ミステリーよ。

自分の書いている話と
同じ事件が起こってたってこと?
単なる偶然?それとも…

さらに作家の恋人が屋上から
転落して意識不明の重体に
なってしまったのよ。

ええ!?それは調べていた
事件と関係があるのか!?
気になるぜ!!
『原因において自由な物語』五十嵐 律人 (著) 講談社文庫
あらすじ
若手の人気ミステリー作家・二階堂紡季はある秘密を抱えていた。
明らかになれば作家生命の存続にも関わる。
しかし、その秘密を明らかにしても、書かねばならない物語に出会ってしまった紡季だが…。
自分で書いた小説と現実がリンクしていく
華々しいデビューの後スランプに陥ったものの、作風を変え再度ヒット作を生み出し不死鳥のようによみがえったミステリ作家の紡季。
顔面偏差値をはかり、近似値の人間を引き合わせるマッチングアプリをめぐり、高校生が謎の死を遂げるという作品を執筆し、担当編集者に送ったところ、ある廃病院で起こった事故のことなのでは、との指摘を受けます。
ふだんニュースを目にしない紡季は慌ててネットで調べてみると、確かに五階建ての廃病院で高校二年生の男子生徒が転落死という、紡季が小説に書いた内容そのものの事故が起こっていました。
生徒が遺した動画には飛び降りる直前の様子が映っていましたが、そこで紡季はふと違和感を覚えます。
その正体が何なのかを掴みきれずにいたところ、公私ともに大切なパートナーである想護が同じ廃病院から転落し、意識不明の重体になっているという知らせを受けました。
高校のスクールロイヤーを務めていた想護に一体何が起こったのか。
紡季は想護の先輩であり弁護士である椎崎とともに、真実を探っていく。
まとめ
紡季が想護のアイデアをもとに書いた小説と現実で起こる出来事が次第にリンクしていきます。
顔のつくりを数値化して近似値の男女を引き合わせるマッチングアプリは、見た目で人を下に見るルッキズムを生み出し、高校生の心を奇妙に歪ませていき深刻ないじめへと発展させていきます。
そこに足を踏み入れた想護は弁護士という立場で生徒たちから話を聞き、いじめのない学校生活を生徒たちが送れるように、彼なりに力を尽くしていたのですが…。
いじめの心理、見た目へのコンプレックス。
彼らの閉ざした心の内側に、小説家として追っていく紡季の姿は緊迫感があり、予想のつかない展開にページをめくる手が止まりません。
苦しみながらも自由な物語を描くために前を向く紡季の姿に、胸が熱くなる物語です。
<こんな人におすすめ>
作中の物語と現実がリンクしていくミステリーを読んでみたい
ルックスでスコアをつけるアプリが呼んだ悲劇を描いた物語に興味がある
五十嵐 律人のファン


見た目を数値化するアプリって
残酷… そこから人間関係が
こじれたりするのもさもありなん。
でもそんな状況を良くしようと
想護は頑張っていたんだな。

作家生命を賭けた紡季の
捜査や推理、そして
関係者とのやりとりに
手に汗握るミステリーね。
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