
こちらは『眠り医者ぐっすり庵』
シリーズ第五弾よ。京都から
戻った藍は、隠し茶に続く一手を
必死に考えるのよ。

おお!帰ってきたのか。
千寿園も繁盛してるんじゃないの?
まあいっときの流行りになったら
客足も離れていくかもな。

一心から忠告されて藍は自分で
考えるの。さらに身を潜めている
松次郎の周辺に怪しげな人物が
現れるのよ。

ええ!松次郎見つかっちゃうのか??
一体その怪しげな人物って誰なんだ!?
『うたたね湯呑 眠り医者ぐっすり庵』
泉 ゆたか (著) 実業之日本社文庫
あらすじ
京のお茶修行を終えて江戸へ戻ってきた藍。
神田明神の参道に店を構えた千寿園は「かくし茶」が人々の評判を呼び大そうな賑わいに。
しかし大店へ商売の忠言をする一心によれば次の一手を打たなければ店は潰れるとのこと。
必至に考えた藍が思いついた考えとは。
様々な原因で眠りの問題を抱えて人々はぐっすり庵を訪れる。
一方、ここで身を潜め眠売りの医者として患者を看る兄の松次郎の周辺に怪しげな人物が…。
精力的に動く主人が仕事中に突然の居眠り
半年のお茶修行を終えて江戸の千寿園へ向かった藍はその繁盛ぶりに驚きます。
しかし一心によれば「かくし茶」という物珍しさからくる一時の賑わいであり、次の策を講じなければ店は立ちゆかなくなるだろう、とのことでした。
次の一手として藍が思いついたのは土産になる千寿園オリジナルの茶の器を作ること。
早速瀬戸物屋の丸梅屋に頼みに行きますが、店主はいつ行っても不在です。
話すらできず困り果てた藍が兄の松次郎やその助手の福郎相手に話していると、そこに当の店主・太郎左衛門と番頭らしき二人が引札に書かれた福もみ屋の客としてやってきたのです。
福郎のマッサージで太郎左衛門が眠っているときに番頭が語ったのは、主人は朝から晩まで精力的に動き回ってはいるものの、取引相手の目の前で急に居眠りをすることがあるとのこと。
話を聞いた松次郎は「福郎、いちばん大きな桶にうんと冷たい水を張って持ってこい」と指示を出し、「今から、皆で水遊びだ。」と言い出して…。
まとめ
突然居眠りを始める店主、千寿園の店主としてこれまでにない状況に出会う藍の悩み、「よく眠れる本」を書きたい種拾いに加え、兄の周辺を探る怪しい男が登場します。
江戸に戻るやいなや、次々と問題に巻き込まれる藍。
一心から厳しくも的確なアドバイスを受けつつ、自分の足りない部分は素直に受け止め、挑戦を続けていく姿に成長を感じます。
今まで語られることのなかった松次郎の過去も明らかに。
人にとって体と頭を休めて、健やかな気持ちに整える眠りの大切さを江戸の人々から学べるシリーズ第五弾です。
<こんな人におすすめ>
眠りに悩む江戸の人々に寄り添う医者と茶屋の営業で成長していく妹を描いた物語に興味がある
『眠り医者ぐっすり庵』シリーズのファン
泉 ゆたかのファン


眠りが妨げられる原因って
本当にいろいろあるんだなあ。
まさに人の数だけ眠りの悩みが
あると言っても過言ではないかも。

千寿園を経営する者として
そして人々の眠りを助ける者として
日々成長していく藍を応援したくなる
物語ね。
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