
こちらは一家三人を殺害した罪で
死刑判決を受けていた死刑囚が
脱走し様々な場所で人間関係を
築き逃亡を続ける物語よ。

一家三人を!?そりゃまた
ヤバイやつなんじゃないの?
それで人間関係なんて
築けるのかねえ。

工事現場や旅館の住み込み、
グループホームなど仕事の内容も
多岐にわたるのだけれど気づかれると
そこからまた別の場所へ向かうわ。

仕事はそれなりにできるのか?
それに人間関係も築けるのなら
常に危ないヤツというわけでは
ないのかなあ。
それにいつまで逃げ続けるんだろう。
『正体』染井 為人 (著) 光文社文庫
あらすじ
十八歳のときに埼玉県に住む一家三人を殺害した罪で死刑判決を受けていた少年死刑囚が脱走。
東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足のグループホーム。
様々な場所に潜伏し、捜査の手から必死に逃れる彼の目的は何なのか。
現場トラブルで和也が助けを求めた相手は
オリンピック開催に無受けて24時間フル稼働の現場で働く和也は上から理不尽にどやされながらも、共に働く男たちが好きでした。
一時の、現場期間中だけのつながりですが、地元で村八分にされた経験を持つ和也にはこれくらいの関係が後腐れもなく気軽だと感じていました。
一週間前にやってきた新入りのベンゾーはひょろりと背が高く、風呂も皆と入ろうとしません。
口数も少なく得体の知れない男ですが、年老いたヒラさんによれば優しいヤツなのだとか。
そんなある日、ヒラさんが現場で負傷。
治療や宿泊費を稼げないヒラさんに金を貸すかどうかを仲間で話し合いますが良い案が出ず、和也はベンゾーに相談することに。
労働基準監督署に申請を、という意見に納得した和也は上にこの話をするときベンゾーも立ち会うように言います。
交渉は決裂し、さらに親受けの会社の人間から殴られ怒りと痛みで歯ぎしりする和也はこの出来事を警察に話そうと考えますが、ベンゾーによれば「得策ではない」とのこと。
重ねていくら入れば納得するのかと和也にたずねます。
そして三日もらえれば和也が答えた十万円が手に渡るよう力を尽くすと…。
まとめ
姿を変えながら様々な場所で働き、人間関係を築いていく少年死刑囚。
事件における状況証拠は彼が犯人であることを指していましたが、より確実な物的証拠や動機の面で疑問が残る判決でした。
そんな彼と関わった人々は、彼のミステリアスな部分や勤勉で努力家、人に優しい部分に触れていき、彼が逃走中の犯人と知った時点で強い衝撃を受けますがその後にふと考えるのです。
「彼は本当に犯人なのだろうか?」と。
行動は逃走犯そのもので注意深いものですが、捕まる危険を冒してまで他者を救おうとするところに彼の本性が現れているのではないでしょうか。
真相が明らかになった時に、涙せずにはいられない感動の物語です。
<こんな人におすすめ>
脱獄した死刑囚が潜伏先を転々とする物語に興味がある
死刑判決を受けた人間がなぜ逃げ続けるのかを描いた話を読んでみたい
染井 為人のファン

リンク

本性って付き合ってみて
はじめてわかるもんだよな。
報道からは伝わってこない。
知ろうとしなければ理解できない
ものなのかも。

彼の行動や言葉を受けた人々が
感じたことが「正体」なのよね。
映画は横浜流星さん主演。もう絶対泣けちゃうでしょ…。
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