
こちらは満州という国をめぐり
日本とロシア、そして現地の義和団
それぞれの思惑が交錯していく
物語よ。

戦いの舞台となった土地だもんなあ。
それぞれの国がここでどんな
動きをしていたのかは確かに気になる。

この地に対するロシアの動きを
探るためにやってきた高木は
「燃える土」が眠っている
可能性に気づくのよ。

それは重要な情報だな。
他の国の人間が知ったら
どんな動きになっていくんだろう。
『地図と拳 上』小川 哲 (著)集英社文庫
あらすじ
1901年。日露戦争前夜のこの年、日本やロシア、そして義和団が満州に入り乱れ互いの様子を探っていた。
ロシア軍の狙いを調べるため特命を受けた高木は李家鎮という村に「燃える土」、すなわち石炭が眠っていることを知る。
ロシアから派遣された神父・クラス二コフ、義和団の頭・孫悟空。
彼らが「燃える土」の上に描いた地図とはどのようなものだったのか。
満州をめぐり各国の思惑が交錯する
日露戦争勃発前の1901年。
日本、ロシアが満州をめぐりその動きを互いに探っていました。
ロシア人宣教師のクラス二コフはロシア帝国皇帝の命を受け、満州一体の地図を描くべくその測量隊に加わっていました。
一方、日本陸軍参謀本部から特別任務を帯びて満州に赴き、ロシア軍の狙いを調査する高木は、通訳の青年、細川とともに義和団が繰り広げるトラブルに巻き込まれます。
拘束されそうになるやりとりの中、現地の李家鎮という村に石炭が眠っていることに勘付く高木。
三年の時が経ちロシアは支那から撤兵することなくついに日本との開戦に至ります。
高木は同郷の女性と結婚、出征前には妻が妊娠。
戦争が終わる頃には生まれているこの子の性別はどちらなのかと考える高木は、ロシア軍に突撃し命を落とします。
細川を現地に通じた通訳として活用する日本軍は、現地の義和団と呼ばれる者たちの、ロシアと日本に対するしたたかさを強く感じるのでした。
まとめ
日露戦争が起こる数年前から数年後を、国策と個人の立場や役割の遂行をベースに展開していきます。
日本、ロシア、義和団それぞれのキーマンの背景を描きつつ、満州という混沌とした地を舞台に、様々な国家や個人の思惑が詳細に描かれていきます。
教科書の中では、日本とロシアが満州をめぐって行われたとされる日露戦争。
しかし実際は現地で暗躍し、日本軍やロシア軍の間を効率的な交渉を求めて行き来する狡猾な現地の義和団などが描かれます。
各々がそれぞれに使命を持って、可能性を持つ土地の未来を切り拓いていく。
そんな希望がどう展開していくのかが気になる物語の上巻です。
<こんな人におすすめ>
満州という土地の地図を描こうとした男たちの物語に興味がある
日露戦争前後の日本、ロシア、満州の人々を描いた話を読んでみたい
小川 哲のファン


義和団もなかなかやるな。
ロシアや日本を上手に
利用している感すらある。

この地の地図を描こうと
した人々が時代の渦にどのように
巻き込まれていくのか。
下巻に注目したいわね。
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