ジリジリと照りつける太陽、体につきまとう熱気…。
高い気温に疲れを感じる時期でもありますが、静かなカフェや青い風が吹く木陰、本の匂いが漂う図書館など、涼しさを感じる場所でゆっくりと読書を楽しむのもまた格別です。
本の中の世界に入り込めば、暑さを忘れてしまうかも…?そんな、夏に読みたいおすすめの10冊を紹介します。
背筋が凍るだけじゃない!読後感の余韻がすごいホラー
『営繕かるかや 怪異譚』 小野不由美(著)
暑い夜には怖い話がよく似合いますね…。そんな話をお探しの方にはこちらがおすすめです。
怪異現象が起こる家を専門に修繕する「営繕かるかや」。何度閉めても勝手に開く襖、屋根裏に潜む何か…。静かな闇の先に存在する何者かの気配に背筋がゾクゾク。
怪異現象の真相を探り、排除するのではなくて共生できるように整えてやる。そうした配慮が、物語を恐怖だけではなく、心に沁みる何かを感じさせます。
未知なるものへの恐れを抱きながらもその存在を認め、寄り添う登場人物たちの姿に、胸を打たれるのです。
バイト先のゲストハウスで謎を解く
『ホテルジューシー』 坂木司(著)
夏と言えばバイト!たっぷり働いてたっぷり遊ぶ!また学生たちが元気に働く姿が見られるようになるといいですね。
こちらの物語は18歳の女の子、ヒロちゃんが、沖縄の超アバウトなゲストハウスでバイトをすることになり、仕事に奮闘しながら日常の謎を解くミステリー。
正義感が強く、曲がった事は大嫌いなヒロちゃん。しかし、ゆるゆるでワケありなお客さんや宿のスタッフたちとのやりとりから、「正しい」だけでは測れないこともあることを少しずつ理解し、受け入れていきます。
ヒロちゃんのまっすぐさと沖縄の太陽が眩しく感じる爽やかな青春ミステリー。
暑い太陽が照りつける、南九州の島でひと夏の研究
『海うそ』 梨木香歩(著)
夏と言えば自由研究ですね。夏だからこそ、じっくりと腰を据えて物事に取り組める。そんな一面もあるのかもしれません。
こちらはそんな研究に取り組んだ人物のお話です。昭和のはじめ、南九州の遅島へ、研究のためにやってきた人文地理学の研究者・秋野。
豊かで変化に富んだ自然と、人々の祈りの痕跡が秋野の心を捉えます。手付かずの自然と、島の人間たちの結びつきに、神秘と畏敬の念を感じていきます。
大いなる自然に包まれているような、そんな感覚になる物語です。
夏と言えば金色のヤツ!
『ビール職人の醸造と推理』 エリー・アレグザンダー(著)
乾いた喉に冷えた黄金の液体をグッと!そのビールが出来立てのクラフトビールだったらもう最高!ですよね。
こちらの物語は、その最高のビールを作るタンクの中に、なぜか死体が入っていたというミステリー。
夫の浮気が発覚し、町中の噂のまととなったスローンは、小さな新しいブルワリーで働くことに。ビール作りの舌と腕を発揮しながら、巻き込まれた事件にも頭を働かせます。
ビールについての知識もたっぷりと散りばめられていておもしろく、また合わせるレシピがおいしそう!ビール片手に読みたい一冊です。
祇園祭りはもう一つの世界とつながっている
『宵山万華鏡』 森見登美彦(著)
盆地のためひときわ夏は暑いのですが、風情ある佇まいで人気のある京都。その京都で行われる日本三大祭りの一つ、祇園祭は毎年大変な人で賑わいます。
この祇園祭りを背景に、若者たちがドタバタを繰り広げたり、はたまた苦悩を抱えた人間が異世界へと足を踏み入れてしまったり。
祭りに参加する人々の熱気と、古くからそこに存在する何者かの力が重なり、異世界への扉が開く!?
軽妙で幻想的な森見ワールドに翻弄されながら、京都の宵闇を堪能できる物語。
夏に読みたい!おすすめの10冊【前編】まとめ
夏に読みたい!おすすめの10冊【前編】の5冊をご紹介しました。後編もお楽しみに!
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