こちらは服を愛する者たちが
互いに負った傷を乗り越えていく
というお話しよ。
服を愛する?
おしゃれさんということかな。
1人は18世紀などの古い服飾を
修理する女性、もう1人は女性の
服を美しいと感じている男性よ。
ほお。ふたりはどんな
傷を抱えているのかな。
『クローゼット』 千早 茜 (著) 新潮文庫
あらすじ
十八世紀のコルセットやレースをはじめ、現代のブランドのドレスまで約一万点もの服飾を保有する美術館でアルバイトをすることになった、デパート店員の芳。男性だが美しい服が好きな芳は、幼い頃に傷ついた過去がある。美術館で洋服の補修をする纒子もまた、幼い頃の事件がきっかけで男性恐怖症を抱えている。そんな二人は遠い昔の記憶の中でつながっていた。
服を通して変化していく価値観に思いを巡らせる
デパートの展示をきっかけに知り合った芳と纒子。芳はデパートでの仕事のかたわら、最初はボランティアで服飾美術館の仕事を手伝うことに。美しい服の数々に目を奪われ、服飾士たちの技術に圧倒され、そして服を通して変化していく価値観に思いを巡らせます。
男性恐怖症である纒子への対応が良くなかったせいで、彼女の親友であり美術館学芸員でもある晶からキツい言葉を投げつけられる芳ですが、洋服への真摯な思いが伝わり、その関係も改善していきます。そして芳と纒子の思いがけない過去のつながりも明らかになり…。
まとめ
生きづらさを抱えた彼らの心はクローゼットの中に閉じ込められているのかもしれません。しかし扉を開けばそこにはきらびやかな、美しいものがぎっしりとつまっているのです。
<こんな人におすすめ>
洋服の美しさやその歴史を描く物語に興味がある
心に負った傷を乗りこえていく話を読んでみたい
千早 茜のファン
美しいものは力を与えて
くれるよな。
彼らの繊細な気持ちや
そこに存在する情景や服飾が
美しい描写で描かれる物語よ。
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