芳醇な香りを放つ黄金色のバターが脳髄に染み込んでいく

『BUTTER』  柚木 麻子 (著) 新潮文庫

あらすじ

交際していた男性数人を殺害した容疑で逮捕されたカジマナこと梶井真奈子。彼女を取材することになった週刊誌記者の町田里佳は、梶井の指示に従ううちに、内面や外見に変化が現れる。里佳の変貌は周囲にも様々な影響を与えていく。

殺人犯の指示に従うことで、女性記者に現れた変化とは

梶井は太っており、美人とは言えない容姿だが、髪や肌はツヤを帯びている。スリムな容姿を持つ里佳に対し、梶井は「バター醤油ごはんを作りなさい」と命じます。食べ過ぎること、太ることに罪悪感を持ち、どこか規制していた里佳ですが、バターの魅力にハマり、どんどんとハイカロリーなものを摂りはじめます。太った里佳に対する周囲の目線は冷たいものでした。しかし肉をまとった里佳は逆に梶井を崇拝し、力を増していくかのようにも見えたのですが。

まとめ

限られた環境の中でどこまで信頼関係を築けるのか、そもそも「信頼」とは何なのか。熱で溶けるバターのように変化していく人間とその関係を深く味わえるものがたりです。

こんな人におすすめ

女性に対する価値観に抗う姿を描いた物語を読んでみたい
連続殺人を犯した女性の心理を描いた話に興味がある
柚木 麻子のファン

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