こちらはままならない人生に
やさしく寄り添う自然と、
そこに勇気付けられる人々の
姿を描く短編集よ。
ままならない人生かあ。
たとえばどんな?
何もかも失い、自ら命を断とうと
乗ったタクシーに、ある場所へ
案内されるの。
死に場所を求めて…か。
そんなヘビーな状況に
タクシー運転手はどんな風に
応えたんだろう?
『月まで三キロ』 伊与原新 (著)新潮文庫
あらすじ
広告代理店を辞め、独立するも、経営が悪化し立ちゆかなくなる。
妻とは離婚し、手元に残ったのは借金だけ。
死に場所を求めて乗ったタクシーは、ある場所へと向かった(「月まで三キロ」)。
夫の親と同居し、真面目にやってきた主婦が、一眼レフを片手に家出。
一人で山を登っていると、火山を研究している教員と大学院生のコンビニである(「山を刻む」)ほか、ままならない人生にやさしく寄り添う自然と人間たちとの姿が感動の涙を誘う、六つの短編集。
手元にあるわずかなお金を持ち、最後の晩餐とばかりに有名な鰻店に入るも、胸焼けがして食べ切れません。
「人生詰んだ」と感じた男は死に場所を求めてタクシーに乗ります。
男の様子を見て察した運転手は「自殺にいい場所がある」と男を案内します。タクシーが向かった場所とは(「月まで三キロ」)。
家族のために一生懸命やってきたが、家族は誰も感謝しないし、好き勝手にやっている、と感じている主婦が家出を決行。
昔好きだった一眼レフを手に、一人で山へ登ります。
火山の研究をしているという賑やかな二人組に会ったあと、道を間違えてしまった彼女は先程の二人組に出会い、駅まで送ってもらうことに。
彼女が家出をした本当の理由とは(山を刻む」)。
まとめ
月や雪、星、火山など科学的な描写が入りますが、解説くさくなく、登場人物たちの心境にぴったりと、主張するでもなく寄り添います。
人間たちの営みがどうあろうと、そこに「在る」自然の存在に勇気付けられる、心あたたまる感動の物語です。
<こんな人におすすめ>
科学的描写が人の心にしっくりと溶け込む話に興味がある
ままならない人生にもがく人々の心を描く感動の物語を読んでみたい
伊与原新のファン
おおお…(இдஇ; )
月が、宇宙が、山が俺たちを
見守ってくれているようだぜ。
詳細な科学描写が、登場人物たちの
気持ちにしっくりと馴染み、そして
彼らを勇気付けてくれる感動の物語ね。
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