こちらは江戸で縁切り状の代書を
行うお糸と依頼者たちを描く
『お江戸縁切り帖』シリーズ第二弾よ。
アシスタントのお奈々が
こまっしゃくれていて
かわいいんだよな。
真面目だけれど人の心の機微には
疎い部分を持つお糸を
よくサポートしてくれているのよ。
今回はどんな依頼者たちが
縁を切りにやってくるんだろうな。
『幼なじみ お江戸縁切り帖』
泉 ゆたか (著) 集英社文庫
あらすじ
江戸の湯島で縁切り状の代書を行う「縁切り屋」を営むお糸は、長屋でひとり住まい。
父と二人で暮らす少女、お奈々に手伝ってもらいながら、様々な状況から縁切りを希望する男女のために縁切り状をしたためるお糸。
しかし、書面を送って終了とはいかない。縁切りに絡む人間の心に残ったものが、夜中に現れ、お糸に何かを訴えかけるのです。
その真意は何なのかを探ろうとするお糸だが。
縁あって結ばれた縁も切らねばならぬこともある
勝手をする師匠との縁を切りたい弟子、夫を振り回す意地悪な姑と別れたい妻、自傷行為を繰り返す友人になさぬ仲の男女。
表向きは単純なトラブルのようにも見えますが、その問題が起こるまでの経緯、恐々や関係性の変化、互いの気持ちが複雑に絡み合います。
親を亡くし、里親とも別れ、寺で育ったお糸は、真面目でまっすぐですが、細やかな感情の機微には少々疎い部分も。
そこは、ちゃっかり少女のお奈々や長屋に暮らす面々に助けてもらいながら複雑に絡んだ縁の糸をほどいていきます。
まとめ
お糸の初恋の相手が登場したり、逆にお糸へ思いを寄せる男性が現れたりと、お糸の周囲にも変化が。
お奈々がとても可愛らしくて魅力的です。
登場する人々の姿形、動きや心までもがくっきりと浮かび上がってきて、彼らを愛おしく感じる江戸の物語です。
巻末の花村萬月さんの解説にも注目ですよ。
<こんな人におすすめ>
縁切り状の代書を行う『縁切り屋』の仕事に興味がある
人と人の切ない縁を描いた話を読んでみたい
泉 ゆたかのファン
『お江戸縁切り帖』シリーズ一作目のレビューはこちらからご覧いただけます。
縁切りの案件を片付けていくごとに
お糸の人間性に深みが加わって
くようだな。でもこのちょっと鈍い
ところがいいところでもあるけど。
人間の愚かな部分を描くことで
今ある縁の大切さを改めて
感じさせてくれる物語ね。
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