小説・人文

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この「関係」はどんな言葉でも言い表すことができない

父を亡くし、母がいなくなったことで居心地の悪い伯母の家で自分を押し殺しながら日々を過ごしていた更紗。ある雨の日の夕方、大学生の文に「帰らないの?」と声をかけられる。傘もなく濡れる更紗に「うちにくる?」と問いかけた文に、更紗は「いく」と立ちあがった。
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騙された母親の復讐のためにあいつらが再び動き出す

詐欺師稼業から足を洗い、持ち前の口の上手さを生かして実演販売士をしている武沢竹夫。彼の仕事を何度も見にくる中学生・キョウは武沢に実演販売を教えて欲しい、と頼む。特技として実演販売を身につけ、あるテレビ番組に出演し、賞金を手に入れたい。キョウがお金を欲しがるのには驚くべき理由があった。
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疎ましく、理不尽。でも愛さずにはいられない家族と故郷。

昭和が終わるころ、南河内の本家の次女・志保子に縁談が持ちあがる。本人の意思はそっちのけで世間体を気にした親戚中の思惑がぶつかり合う。志保子の姉・久美子の娘である4歳の奈々子は、そんな彼らの様子を子どもらしい目で見つめていた。
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天才ハッカーが廃れゆく日本伝統工芸を救う!?

和歌山県の熊野古道に現れた、世界を股にかける天才ハッカー黒木。桐だんすを作る職人のもとで伝統工芸の研究をしている大学院生・柴田澪にある提案を持ちかけます。驚くようなその提案内容に、黒木の意図がつかめずに戸惑う澪。黒木が世界に向けた目論見とは何なのか。
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記憶の中のあの人は母を殺した犯人でした

四歳の娘を育てるシングルマザー、紫織と婚約中の松宮周作。父は脳梗塞で倒れる前に、周作名義の通帳を周作に渡す。そこへ振り込みをしている人物について、父は話すことはなかった。改めて自分の過去を振り返ろうと調べはじめた周作は、二十五年前に起こったある傷害事件に行きあたる。
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狂いだした歯車は思わぬつながりからまた噛み合っていく

陸上部の先輩にあこがれている高校生の結。借金を重ねて何もかもを失い、闇金の取り立てをしている乾。がんで余命半年の宣告を受けた乾の雇い主、マキ子。生まれつき四肢の動かせない、車椅子に乗った博。どん底に生きる彼らの生き様と、不思議な縁を描く。
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マンション老朽化問題で噴出するのは意地か見栄か固執か

赤坂に立つ、築四十五年のデザイナーズマンション。かつては華々しく話題にのぼっていたが老朽化にともない、あちこちで不具合が発生。改修工事をめぐり、新旧住民や建築事務所関係者など、様々な思惑が絡み合い、事態は混乱を極めていき…。
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逃れられない絶望の淵に僅かに差す光を求めて

山奥にぽつんと建つ「ドライブインまほろば」。三十七歳の比奈子が一人で営むこの食堂に、小学6年生の男の子と年長の女の子の兄弟がやってきて、夏休みが終わるまで店に置いてくれ、と言う。比奈子はある夜、「義父を殺した」という憂の告白を耳にする。
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異色のコンビが紡ぎだす 5つの別れの物語

事情により「あのバス」に乗ってどこかへ連れていかれることになってしまった星野。恋人たちに別れを告げるため、監視役であり、体がとてつもなく大きく、信じられないような暴言を吐く女、繭美とともに、恋人たちとに別れの話を切り出すが…。
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人生をそっと後押しする お弁当屋さんの小さな奇跡

坂の下にある、見た目がケーキ屋さんのような、小さなお弁当屋さんには、愛想のない女店員がいる。お弁当を買いにやってくるのは、心にモヤモヤを抱えたお客たち。ポイントカードが貯まった彼らは、店員からちょっとしたおまけをもらう。