
こちらはこちらは「しゃばけ」シリーズ
第22弾よ。なんと若だんなは
五年後の世界へとやってきてしまうの。
しかも長崎屋が聞き的状況に陥って
いるのよ。

未来にタイムスリップしちゃったって
ことか。大店である長崎屋が危機的
な状況に陥るなんてどうなってるんだ?

この世界では若旦那は五年の間
行方不明になっていたそうよ。
店の大事なものを盗まれ
ライバル店が同じ薬を安く売り
出したりするの。

うーん。長崎屋で誰かから恨みを
買うようなことがあったんだろうか?
若旦那も無事にもとの世界に戻れると
いいが…。
『いつまで』畠中 恵 (著) 新潮文庫
あらすじ
行方不明になった場久を助けるために夢の中へと飛び込んだ若だんな。
目が覚めるとそこは何と五年の時が経った江戸だった。
さらに危機的状況へと陥っている長崎屋を、若旦那は救うことができるのか。
長編作品となった人気シリーズ第22弾。
悪夢の先にあった江戸の世界と長崎屋の危機
悪夢を食べる獏であり、噺家でもある場久が行方知れずとなり、長崎屋の妖たちは皆で探すことに。
さらに自分の住まいに各地から様々な妖がやってきて困っていると、長崎屋へ相談に来ていた医者の火幻までも行方がわからなくなってしまいます。
場久は夢の中から出られなくなっているのではないかと考えた若だんな。
ある夜、夢か現実か区別がつかない闇の中から誰かが話しかけてきました。
それは以津真天という火幻の知り合いの妖で、火幻が土地を去って江戸へ行き、他の妖たちと仲良く暮らしていることが気に入らず火幻を悪夢に引きずりこんだと言います。
火幻や場久を助けたければ悪夢に入る事だと言われ「行く」と答えた若だんな。
目が覚めるとどこかで聞いたことのあるような、でも初めて聞く声の女性がそばにいました。
回向院で倒れていた若だんなを、お夢というこの若い女性が見つけ参拝客たちに頼んで団子屋の床几へ運んでくれたのでした。
お礼を言って長崎屋へ向かうと場久が現れます。
無事でよかったとほほえむ若だんなの腕をつかんだ場久は若だんなを店から離れさせます。
火幻に助けてもらい悪夢の裂け目から転がりおちた場久は、この江戸がとんでもないことになっていることに気づきます。
ここは五年後の世界であること、若だんなはその間行方不明だったこと、そして長崎屋が商売を続けていけるかどうかに関わる危機を迎えていたのです。
まとめ
お店のためにと薬調合のための升を作り出し、店の繁盛に貢献した若だんな。
しかしこの升が長崎屋の危機的状況を招くという皮肉な結果へと繋がってしまいます。
西からやってきた妖の以津真天は、勝手に江戸へと向かい他の妖たちと仲良くしている火幻に腹をて、喧嘩をふっかけたり場久を悪夢へ連れ込んだりします。
挙げ句の果てには若だんながいるから妖たちが集まってくるのだと言い出します。
五年後の世界でも妖たちの手を借りながら長崎屋の危機を救おうとする若だんな。
河童たちの活躍に胸が踊り、また若だんなを助けてくれた若い女性の正体にもグッときます。
寂しさとあたたかさがじんわりと心にしみこんでいく物語です。
<こんな人におすすめ>
5年後の江戸にタイムスリップし店の危機に立ち向かう若旦那を描いた話を読んでみたい
『しゃばけ』シリーズのファン
畠中 恵のファン


この以津真天の勝手な思いは
迷惑なんだけど何だか哀れでも
あるなあ。友と呼べるものが
いるかいないかでこんなにも
心向きが変わってしまうものなんだな。

そんな以津真天の目を覚させたのも
若旦那を救おうという多くの友たちの
力なのよね。店の危機を救うために
立ち向かう若旦那にまた一つ成長を
感じるシリーズ第22弾ね。
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