
こちらは人事の採用担当という
立場を利用して会社に復讐を
しようとする女性のお話よ。

復讐だって??そいつは穏やかじゃ
ないな。いったい会社に何を
されたっていうんだ?

ある出来事がきっかけで会社が
ネットで炎上したの。その出来事を
内部告発した人間とされ花形の部署から
人事部へと異動となってしまったの。

そいつは気の毒だったな。
それにしても採用で会社に復讐って
どうやるんだろう?
『黄金比の縁』石田 夏穂 (著) 集英社文庫
あらすじ
化学工場の設計を請け負う(株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は花形部署から異動となったことを恨み、新卒採用チームの権限を最大に活かし、会社に復讐することを心に誓う。
その方法とは、顔の「黄金比」のみを評価し、会社にとって不利益となる人間を採用すること。
採用側のブラックな一面をユーモアを交えた筆致で描く。
会社への復讐は「顔基準」による採用方式!?
会社の中で「最もデカい顔ができる部署」であるプロセス部に所属し、エンジニアとして開発に携わりたいと期待に胸をふくらませていた入社したての頃の小野。
同時期に社内にチャットボットが導入され「マドカちゃん」と名付けられたAIは社員たちに重宝されていました。
ある日お偉いさん方を交えた打ち合わせの席で、チャットボットの話題があり弊社のはこれです、とパソコンを半回転させたところ、先方は固まってしまいました。
マドカちゃんは猫耳、尻尾、年中ビキニの妙齢のお姉さんだったのです。
この話が広がりYahoo!ニュースにまで発展し、なぜか事の発端は「同社女性従業員による内部告発」となっており、事実確認もないまま小野は人事部への事例を告げられます。
採用担当となった彼女はあることを決めます。
それは優秀な人材を我が社から逃がし、代わりに駄目な人間を採用すること。
しかしこの採用基準はギャンブルのようなもので定めるのは難しいところでもあります。
そこで彼女が編み出したのは「顔の黄金比」のみに焦点を絞り選出することだったのです。
まとめ
会社に都合よくふりまわされ、花形部署から人事の採用担当へ異動となってしまった小野は、会社への希望や期待を復讐へと全振りします。
その方法は、顔の黄金比にマッチした人間を採用すること。
それは確かな根拠があるのです。
採用側の裏舞台も細やかに描かれていますが結構適当で、担当者の好みの反映でしかないのでは?といった部分もありますが、入社後にどれだけの活躍をするか、どれだけ在籍するかは未知数であるのも確かです。
「人」と「会社」をじっくりと見極め、独自の復讐に挑む小野の冷静さと実行力に脱帽するお仕事小説です。
<こんな人におすすめ>
人事採用の裏側を描いた物語に興味がある
会社に不利益な人材採用を進めることで会社に復讐をはかる話を読んでみたい
石田 夏穂のファン


人事採用ってこんなに適当なのかよ!!
まあでも人間がやることだもんなあ。

復讐が動機とはいえ顔の比率や
人間に対する分析を徹底的に
行い、結果に出しているところに
優秀な彼女の活躍の場を誤った
会社の愚かさも感じられる物語ね。
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