
こちらは犯罪者が利用できる
特別なホテルで、ルールを破り
揉め事が起こった時に対処する
ホテル探偵の推理を描く物語よ。

犯罪者が泊まれるホテル?
それって危険じゃないの??
宿泊客同士で傷害事件とか
窃盗事件とか起こったりしないのかね。

ホテルの本館は一般客が利用して
いるのだけれど、別館は会員制。
犯罪者はこちらの会員となり
様々なサービスを受けることができるわ。
敷地内での犯罪や殺人は禁止というルールが
あるのだけれどある一室で死体が発見されるのよ。

ええ〜〜 犯罪者ばかりが
泊まっているホテルなら
宿泊客の誰が殺人犯人でもおかしく
なさそう。ホテル探偵ってのは
どんな推理を導き出すのかな?
『アミュレット・ホテル』方丈 貴恵 (著) 光文社文庫
あらすじ
アミュレット・ホテルの別館は会員のみが立ち入り、宿泊できる施設。
会員は殺し屋や詐欺師、窃盗グループといった犯罪者のみなさまで対価さえ払えばあらゆるサービスを蹴ることが可能。
万全のセキュリティでお客様をもてなすこのホテルの一室で殺人事件が発生。
ホテル内での揉め事を対処するホテルのナイトマネージャーでありホテル探偵でもある桐生は、事件の解明に挑む。
犯罪者が利用するホテルで密室殺人事件発生
別館の一室で男の死体が発見されます。
首には紐で締められた跡がくっきりと残っています。
桐生が見覚えのあるこの男は強請屋の佐々木。
この高層階に泊まる客ではありません。
オーナーによれば佐々木が泊まっていたのは9階の客室で、11階のこの部屋には詐欺グループのボス、信濃が宿泊しているのだとか。
オーナーが信濃から扉が開かないというクレームを受け現場へ。
カードキーは使用しておらず内開きで部屋側にドアガードがあり、オートロック機能もあります。
エマージェンシーキーでも扉が開かなかった原因は部屋にあったサービスワゴンで、これをハンドルの下に押し込みドアが開かないようにされていたためでした。
そして遺体とともに発見された生存者はホテルスタッフの遠谷。
フロアの清掃をしていたところ背後から襲われ気がつけば遺体がそばにあったのだといいます。
ホテルの専属医師であるドクと呼ばれる男の診断からも遠谷が佐々木を殺害することは不可能であることが実証されたため、桐生はホテル探偵の権限により、容疑者である3人の宿泊客を現場の部屋に集めます。
一人ずつ事件前後のアリバイを確認していく桐生が導き出した真実とその対処とは。
まとめ
お客様は犯罪者。
偽造パスポートや銃器の用意など要件を満たせばあらゆるサービスを受けられる、犯罪者にとってまさに天国のような場所、それがアミュレット・ホテルです。
このホテルでお客様に守っていっただくルールは二つ。
ホテルに損害を与えないこと、そしてホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさないこと。
万が一トラブルが起こった場合にも完璧な証拠隠滅の手はずは整っているものの、殺人という最大の禁忌が破られ怒りをあらわにしたオーナーに命じられ、桐生は密室の謎と殺人事件の真相を探っていきます。
容疑者たちも犯罪者のため一筋縄ではいきません。
彼らの発言を整理していきながらたどりついた真実に驚きます。
緻密に練られたトリック、桐生をはじめオーナーやドクなど謎の多いスタッフたちの背景も、話が進むたびに少しずつ明らかに。
切れ者のホテル探偵が後始末まできっちりと行う、犯罪者だらけの現場で起こるエンタメ味あふれるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
犯罪者ばかりが利用するホテルで起こる事件の謎を解くミステリに興味がある
犯罪者とホテル専属探偵の頭脳線を描いた物語を読んでみたい
方丈 貴恵のファン


なんだなんだ のっけから
驚かせてくれるな!!
そこかしこに意表を突かれる
仕掛けがたくさんあるぜ。

奇抜な設定と個性溢れる登場人物たちの
裏にはしっかりと練られたトリックが
隠されているわ。最後の最後まで
気を抜けない、エンタメ感たっぷりの
ミステリーね。
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