ひと目でわかる!イラストブックレビュー
『蔦屋の息子(二) 歌麿、天賦の才』泉 ゆたか (著)

のこ
のこ

こちらは主人の蔦屋重三郎から

息子の扱いをされ耕書堂の奉公人として

働く勇介の奮闘を描くシリーズ第二弾よ。

歌麿という絵師の世話をすることになるの。

ぬこ
ぬこ

歌麿!!美人画で有名だよなあ。

この本に登場するクリエイターたち

みたいに変人だったりするのか?

のこ
のこ

そうね。才能があるのは確かなのだけれど

気力がなかったり苛立ったしてしてるの。

主人の重三郎も過剰なほど歌麿を気に

かけているわ。

ぬこ
ぬこ

それもまた勇介にとっては

やきもきするところだなあ。

でも江戸の人の心に残る作品を

描かせるには何とかしないとだな。

『蔦屋の息子(二) 歌麿、天賦の才』

泉 ゆたか (著)PHP文芸文庫

あらすじ

お江戸の真ん中に位置する日本通油町。

この地に店を構える耕書堂は吉原の手引書で名を挙げ、江戸の大版元の一つとしても認められている。

主人の蔦屋重三郎から「お前を息子として扱う」と言われた奉公人の勇助は、ある日歌麿という絵師の世話を命じられる。

才能はあるが気力がなく苛立った様子を見せる歌麿に、江戸の人々の心に残るような絵を描かせることができるのか。

天才絵師の才をどう引き出すのか

才能は確かにあるが、人真似の域を出ていない。

そんな歌麿の絵に歯がゆい思いを抱いた重三郎は、雄介を伴い歌麿の家へ向かいます。

勇助が家の戸に手をかけて引くと敷居の溝が朽ちかけていたようで何と戸口が崩れ落ち、さらに家全体が大きな音を立てて気付けば瓦礫の山となってしまったのでした。

歌麿は重三郎の家で暮らすことになり、勇助はその世話係を命じられます。

色白で線が細く、どこか投げやりな態度で死を恐れない男、そんな歌麿から江戸の人々が熱狂するような美人画を描かせるにはどうしたらいいのか。

奉公人の兄貴分である手代の正蔵に相談してみたところ「差し入れ」をするといいと言われ、歌麿の心が動くものは何なのかと雄介は頭をひねります。

そうして雄介が差し出したものを目にした歌麿は「雄介、紙と筆を持ってきて」と言うと、勢いよく動かし始めて…。

まとめ

孤独で繊細な心を持つ天才肌の歌麿を前に、雄介はあの手この手を用いて何とか「売れる絵」を描かせようとしますが、なかなかうまくいきません。

歌麿を過剰に気に掛ける重三郎の態度にモヤモヤしたり、一方では兄貴分である正蔵との関係が良くなったようにも感じるのですが。

日々の仕事に励みつつ、重三郎や正蔵にも悪気なくあけすけに物を言う雄介は、痛い目を見ることもありますが、その正直さと仕事への情熱を胸に前へと進んでいきます。

人の心を動かすような作品を生み出す者と、それを手に取り目にできる形に仕上げ、江戸の人々へ届ける者たちの熱い想いや苦悩、そして喜びと成長を描く、シリーズ第二弾です。

<こんな人におすすめ>

江戸で話題の版元を営む蔦屋重三郎に『息子』と呼ばれた奉公人の奮闘を描く物語に興味がある
前作『蔦屋の息子 耕書堂商売日誌』を読んだ
泉 ゆたかのファン

ぬこ
ぬこ

計算高くなく素直で正直な

勇介だから歌麿の心を動かすことが

できたのかもしれないな。

着々と成長していく勇介の姿が

いいじゃないか。

のこ
のこ

江戸の人々の心に残る、美しい作品を

残そうという情熱を持ったメンバーたちが

それぞれの役割において全力で取り組む姿に

胸が熱くなる物語ね。

前作『蔦屋の息子 耕書堂商売日誌』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。

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