のこ
母親の記憶はある?
ぬこ
うーん ないかなあ。
気がついたら飼い主の膝で
丸まってような。
のこ
なるほど。
こちらは夫が出て行ってしまい、
手のかかる息子と島へ戻ってきた
母親の話よ。
ぬこ
おお 大変な要素が多い…
『九年前の祈り』 小野 正嗣 (著) 講談社文庫
あらすじ
三十五歳になるさなえは、幼い息子を連れてこの海辺の小さな集落へ戻ってきた。言葉を発せず、ふとしたきっかけで泣き叫び、暴れる息子を持て余しながら、さなえが思い出したのは、さっちゃん姉の9年前の祈りだった。
育児の苦しみと集落の冷たい目線の中で
さなえと息子を置いて、夫は姿を消した。息子とは意思の疎通が叶わず、暴れ出すと抑えるのに苦労する。実家の親からは容赦ない発言が次々と発せられる。おそらくは、集落の全ての人間が同じように言っている…。
まとめ
そんな状況で思い出すのは、かつて海外旅行へ一緒に行ったみっちゃん姉。彼女の息子もさなえの息子のように心配な存在だった。子を思う母の祈りは、どうにもならない現状の中でたどり着くことなく漂っている。じわりと哀しみが心に染み込んでいくような物語です。
<こんな人におすすめ>
母親の苦しさや優しさを感じられる話を読みたい
田舎町で人生を営む人々の葛藤や喜びに興味がある
小野 正嗣 のファン
リンク
ぬこ
「祈り」の意味を考えると
いろんな思いが胸をよぎるな。
のこ
言葉にできない悲しみや苦しみが
文章の間に漂うような物語ね。
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