こちらは江戸の町で「縁切り屋」を
している女性と、そのお客たちを
描いたお話しよ。
「縁切り」とは穏やかじゃないなあ。
そんな面倒がおこりそうな仕事を
しているとは、強そうな女の人なのかな?
いいえ。まじめで誠実な女性よ。
十七歳で長屋で一人暮らしなの。
女の人が十七歳で一人暮らし!?
物騒じゃないの??その「縁切り屋」って
だけで食っていけるのか??
そのあたりの事情も読んでみると
よくわかるわよ。
『雨あがり お江戸縁切り帖 』 泉 ゆたか (著) 集英社文庫
あらすじ
江戸の町の大半を焼き尽くした明暦の大火から一年が経った。十七歳のお糸は長屋で写本の仕事をしながら一人暮らしをしている。
ひょんなことから縁切り状の代筆を引き受けることに。浮気をする亭主との別れ、悪友との絶縁、親子の決別。一度は結んだものを切りたいと願う、人々の縁の不思議と、その胸のうちを描く。
十七歳のお糸の長屋での暮らし
捨て子だったお糸は、一度、子のいない夫婦に育てられたあと、ある事情から寺に預けられました。今は長屋で一人暮らしをしていますが、右隣に父親と二人で住む奈々、左隣に住むおイネ婆さまと、長屋らしく互いの立てる音が聞こえるような環境で暮らしています。
そんなお糸のもとに舞い込んだのは、浮気者の夫へ渡す縁切り状の代筆依頼。縁切り状を受け取り動揺した夫はお糸のところへ怒鳴りこんできます。ますますこじれてしまったような状況の中、お糸は夜中に不思議なものを目にするのです。
まとめ
縁あって結ばれた人と人とのつながりは、成長や環境によって変化していきます。その変化に耐えられなくなった糸を、時には自ら手で切ることもあります。それは必ずしも苦しみや悲しみだけが残るのではない。そんな事を教えてくれる物語です。
<こんな人におすすめ>
人が縁を切りたいと望む状況を描いた話に興味がある
悲しくもあたたかな気持ちになれる江戸時代の話を読んでみたい
泉 ゆたかのファン
なるほど、長屋でね。
お糸もその年齢で自分で食べていこうと
しっかり技術を身につけているところも
偉いなあ。今だったら高校生だぞ。
長屋で共に暮らす人々との
つながりが支えになっているのかも。
人との縁の不思議、切れる悲しさ・切なさが
ありながらも、清々しい読後感のある
物語ね。
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