こちらは異世界に迷いこんでしまった
男性が、猫からこの国の内情を語られ、
そして国を救ってくれないかと頼まれる話よ。
ほう。ファンタジー的な話か?
そこはどんな国なんだ?
王様が支配する小さくて平和な
国だったのだけど、他の国の兵士が
やってきて国王を射殺するの。国民たちは
戦いに慣れておらず、これからどうなるかと
不安になっているのよ。
なるほどねえ。そこを猫が喋って
様子を伝えるっていうのもおもしろいな。
いったいどんな展開になるんだろう?
『夜の国のクーパー』伊坂 幸太郎 (著) 創元推理文庫
あらすじ
気がつくと、細く丈夫な蔓で身体を縛られ、身動きのできない状態で草叢の中に横たわっていた私の胸の上には、灰色の猫が座っていた。
その猫が「ちょっと話を聞いてほしいんだけれど」と喋ったものだから驚いた。
トムと名乗る猫は自分が暮らす国で起こっている出来事を語り出した。
長い間、戦うことなく暮らしていたこと、かつて国からクーパーという人間を襲う木を倒すため数名の人間が選ばれ、そして戻って来なかったこと…。
長い話を終えたトムは私に「僕たちの国を救ってくれないか」と言ってきた。
猫と戦争と、この国の伝説
トムの国に鉄国の兵士がやってきて国王を銃殺しました。
住民たちは外出禁止とされましたが、ろくな武器を持たず、戦争の経験もない住民たちはこの先どうなるのか不安になり、国いちばんの長生きである頑爺へ話を聞きにいきます。
頑爺の「戦争で負けたら何が起きても、何をされてもおかしくない」という言葉を聞いた住民たちはますます不安になり、また反撃するべきかを考えます。
人間たちの話を聞いていたトムら猫たちは、自分たちにも影響があるのかなあとのんびり構えています。
しかし、いつものようにダッシュで鼠をおいかけていたトムは何と彼らの仕掛けた罠にはまり、さらに驚くべき提案を鼠から持ちかけられます。
鉄国の兵士たちの目的、猫とネズミの関係とクーパーの正体は何なのか。
そして私はこの国を救うことができるのか。
まとめ
どこかの国で起こる、戦争とかつてクーパーと戦った兵士たち。
そして猫たちののんびりしながらも活躍する様子。
闘い奪い合うことの愚かさを描きながら、戦う相手やその方法までもが大きな謎として楽しめる、軽快な筆致が心地良いファンタジーなミステリーです。
<こんな人におすすめ>
別世界に紛れ込んでしまった不思議な話を読んでみたい
小さな国で起こる戦いや伝説を絡めたミステリーに興味がある
伊坂 幸太郎のファン
逼迫した状況でちょっとお茶目な
セリフ回して空気を和ませつつ
争うことの愚かさをチクリと刺す
伊坂作品の醍醐味を味わえる
作品だな。
重さと軽さが絶妙な具合で
ミックスされている
ぐいぐいと読み進めることができる
ファンタジーミステリーね。
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