こちらは『とっても不幸な幸運』
と書かれた缶をめぐり、新宿の
バーに訪れる客や店長たちに起こる
出来事を描いた物語よ。
不幸な幸運?
幸運だけど不幸ってこと?
缶の中にはいったい何が
入っているんだろう。
缶を空けても何も入って
いないの。でも空けた人に
様々なことが起こるのよ。
例えば亡くなった人物が見えたり…
ええっ ホラーヽ(; ゚д゚)ノ !?
登場人物たちにとっての
不幸な幸運って何なんだ??
『とっても不幸な幸運(新装版) 』畠中 恵 (著) 双葉文庫
あらすじ
新宿駅東口を出て、伊勢丹アパートからさほど遠くない辺りのビルの地下一階でひっそりと営業している『酒場』。
腕っぷしの強い三十代半ばの店長が提供する酒とつまみを求めて、今日も常連客が店に集う。
ある日、店のテーブルに一人の女子中学生が座っていた。
店長・小牧洋介の義理の娘であるこの少女・小牧のり子は『とっても不幸な幸運』と書かれた缶を見ている。
興味津々な様子の常連客たちに、洋介はこの缶のせいで起こったことを話しはじめるのだが…。
不思議な缶を開けてみると…
一緒に暮らしていた祖母が亡くなり、洋介と暮らすことになったのり子は、100均で『とっても不幸な幸運』と書かれた缶に興味を持ち購入。
朝食を食べている時に開けてみたところ、電子レンジのドアに亡くなった母の姿が…。
思わず悲鳴をあげ、飛び起きてきた洋介に説明するも、信じてもらえません。
口論となりそのまま学校へ行ったのり子。
しかし帰ってきてからも口をきかずにいるので埒が明かず、洋介はのり子を店に連れてきたのでした。
そして客たちに事情を話します。
大人たちはあれこれと推理を働かせますが、最終的に洋介が明らかにした真相とは思いがけないものだったのです。
のり子の購入を皮切りに、常連客やその知り合いたちが缶を入手し店で開けます。
その度に不可思議で苦しい体験が次々と彼らに襲いかかるのです。
まとめ
若きバーテンダー、警察、医師、マジシャン。
彼らの目に映るのは伝わらない思いや後悔、目をつぶっていた苦しみなど様々です。
腕っ節も強いが頭脳の切れ味も鋭い店長が、酒や料理を提供しながら真実を明らかにしていきます。
苦しみに直面しても見守ってくれる仲間と受け入れてくれる場所がある。
そんなあたたかな気持ちになれる物語です。
<こんな人におすすめ>
不幸な幸運をもたらす缶詰が巻き起こる騒動を描いた話を読んでみたい
クセの強い常連客と腕っ節の強いマスターが集う酒場の物語に興味がある
畠中 恵のファン
単なるドタバタ劇ではなくて
人生のほろ苦さを効かせた
大人の味わいがあるなあ。
不幸の要素があるからこそ
幸運がより確かに感じられる
ものなのかもしれないわね。
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