こちらは19世紀に留学した
日本人がトルコでの様々な出来事や
友人たちとの交流を描いた物語よ。
19世紀か。第二次世界大戦の
頃かな?その日本人はどんな目的で
トルコに留学したんだ?
戦争が始まる前で少しずつ
世界の緊張感が高まっていた頃ね。
留学生の村田は歴史文化研究のために
この地にやってきたの。下宿先には
様々な国籍の人たちが住んでいたのよ。
へえ。それぞれの国の文化や
宗教の違いなんかもあるんだろうな。
今とは違って新鮮な驚きに
たくさん出会えそうだ。
『村田エフェンディ滞土録 』梨木 香歩 (著)新潮文庫
あらすじ
十九世紀末の土耳古、スタンブール。
この地の歴史文化研究に来た村田は、イギリス人のディクソン夫人の屋敷に下宿していた。
屋敷にはドイツ人の学者オットーとギリシャ人の考古学会会員のディミトリスも下宿しており、使用人のムハンマドと彼が拾ってきたオウムがいる。
トルコで発掘される膨大な量の遺跡、それらに対する学者個人の、そしてそれぞれの国の考え方を語り合い、新たな発見と驚きを得る日々を過ごす村田。
日本からはるばるやってきて縁を得た知人から小さなキツネのついた根付を譲り受けたところ、大きなものが走り回っているようなすさまじい音が村田の部屋のあたりから聞こえてきて…。
異国の地で様々な価値観を学び不思議な出来事に出会う
様々な人種や国籍の人間が集い、路地からはスパイスの香りが漂うトルコ、スタンブール。
研究員としてこの地にやってきた村田は資料館兼研究所に通い、発掘された品の整理等を行なっています。
同じ屋敷に住む下宿人たちもそれぞれの国の立場で遺跡の発掘や調査をしています。
学者同士、あるいは夫人やムハンマドを交えて遺跡について話し合い、またそれぞれの国の文化や宗教観についても話題に出し、互いに新たな価値観を見出す刺激的な日々を村田は過ごします。
またトルコに来る途中に体調を崩したという日本人、木下に日本の食料を提供したところ、お礼にと小さなキツネがついた根付をもらった村田。
持ち帰ってみるとドタバタと走り回るような音が村田の部屋から聞こえてきて…。
まとめ
光と影と埃と香り。
そして雑多な人種の人間たちが通りを歩くざわめきに混じって、古いものに宿った、人ならざる存在も動き回っているようです。
世界が戦況に巻き込まれる前の、トルコという国で出会い違いの根底にあるものを感じ合い、友情を育んだ彼らの輝いた日々を描く、色あせない青春の物語です。
<こんな人におすすめ>
19世紀末のトルコの様子や遺跡の発掘調査、各国の歴史的認識や宗教観などを描いた話に興味がある
『家守綺譚』『冬虫夏草』を読んだ
梨木 香歩 のファン
異文化交流は人間だけに
限らないんだな…(゚Д゚;)
『家守綺譚』とつながる部分が
あって胸アツ(≧∀≦)
それぞれの価値観や文化を
尊重しながら友情を深めて
いく彼らの姿に感動する物語ね。
『家守綺譚』『冬虫夏草』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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