こちらは大好きな従兄弟の家に
やってきた直樹と典子の兄妹が
様子がおかしくなってしまった
従兄弟の隆を元の姿にもどすべく
奮闘していく物語よ。
おかしくなってしまった
ってどんな風に?
穏やかで優しい性格だったのが
無口でつっけんどんな態度に。
母親に対しても冷たいの。
ほほう。何かそうなる原因が
あったのか?気になるぜ!
『過ぎる十七の春』 小野 不由美 (著) 角川文庫
あらすじ
十七歳になる直樹は、中学生の妹の典子とともに、伯母の美紀子と従兄弟の隆が住む家へとやってきた。
多くの花が咲く山郷の家は変わらない美しさだが、ある日から突然隆の様子がおかしくなる。
心穏やかで優しかった隆は、昏い目をして、伯母への態度も冷たくそっけない。
伯母もショックを隠せない様子。
農薬を飲み布団の中で昏睡している伯母を発見した直樹。
何とか一命を取りとめたが、実の母のそんな姿を目の前にした隆は「この布団、もう使えないかな」「もう少し場所を考えればいいのに」と言い放つ。
完全に隆は別の人間になってしまった。
その原因を探るため、伯母の部屋をかき回していた直樹は一冊の過去帳を発見。
ページをめくり先祖をたどっていくと驚くべき事実が…。
野花に囲まれた美しい家で起こる怪異
自然に見えるよう野草もおりまぜ、丁寧に手入れされた庭と、古いながら隅々まで清潔に整えられた家。
そんな従兄弟の家と家族が大好きな直樹と典子は、毎年訪れ、何泊かして楽しんでいましたが、直樹と隆が十七歳を迎えようとするこの春、隆の様子がおかしくなります。
口数が少なくなり食欲も落ち、伯母に対する態度も冷ややか。
問いつめた直樹に向かって母親のことを「あんな女…」と答えたり。
明らかにおかしいと感じる直樹と典子ですがなすすべもありません。
その後伯母は自殺を図り病院へ。
一命を取りとめますが、家に戻ることは叶いませんでした。
伯母の部屋で過去帳を発見した直樹は、何代にもわたって長男が十七歳で亡くなっていることを発見します。
そしてある夜から直樹のそばに懐かしいような姿の女性が現れます。
まとめ
母親を大切にする、心優しい少年隆が変わっていく姿に、怖ろしさを感じつつも幸せに過ごしていた伯母と従姉を返して欲しい、という直樹と典子の切実な思いが伝わり、胸を打たれます。
母が子を想う強い気持ちが引き起こす悲劇に、今持てる力で全力で立ち向かっていく兄妹の姿、そして彼の成長と母子の愛情を描くホラー&ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
自然豊かな従兄弟の家で起こる怪異を描いた話に興味がある
代々続く悲しい女の呪いを描いたホラーを読んでみたい
小野 不由美のファン
子を思う切ない母の思いが
悲劇を生むんだな…( ̄^ ̄゜)
自然豊かな山村の情景が
悲しさを一層引き立てる
美しくも悲しい物語ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。