こちらは1日限定でオープンした
『抹茶カフェ』の店長やお客たちの
姿を描く連作短編集よ。
東京と京都をつなぐ物語でもあるの。
ほうほう、『木曜日にはココアを』の
マーブル・カフェが1日限定抹茶カフェに
なるのか。店長はどんな人物なんだ?
京都茶問屋の若旦那よ。
女性と話すのが苦手なの。
でもお客でやってきた女性の
ことが気になっているようね。
おっと、恋の予感か?
でも京都の人間だと遠距離に
なるのかな。どんな展開に
なるのか、楽しみだぜ。
『月曜日の抹茶カフェ』青山 美智子 (著)宝島社文庫
あらすじ
桜並木が途切れたところにぽつんとある、小さな店「マーブル・カフェ」。
定休日の月曜日、当日限りの「抹茶カフェ」に。
ツイていないと嘆く携帯ショップの店員、照れ屋で女性と話すのが苦手なために、ぶっきらぼうな対応をしてしまう茶問屋の若旦那、何かと口うるさい祖母のことを苦手に感じている紙芝居師、京都老舗和菓子屋の元女将。
一杯の抹茶からつながり広がっていく、東京と京都をつなぐあたたかな物語。
いつもの店の定休日に現れた1日限定抹茶カフェ
携帯ショップで働く二十六歳の美保は、正月早々、休みなのに間違えて早番出勤してしまいます。
買い物でもして帰るか、とモールを見てまわりますが狙っていた服は売り切れ。
ファストフード店に寄ればニットにケチャップをこぼす。
新年早々ツイてないと思いつつ、気をとりなおして大好きなカフェで過ごそうと思えば定休日。
ところが一日限定で「抹茶カフェ」となっていました。
店長の若い男性は美保と目を合わせようとせず、対応もどこかぶっきらぼう。
頼んだ「濃茶」は思わず「ぶへっ」と声が出るほど苦いもので…。
そんな時、店長のスマホが鳴り出し、慌てる店長に操作方法を教える美保。
スマホの魅力を語る美保に対し店長は「あなたに大切に愛してもらえてスマホも幸せやと思います」と。
その一言に思わず美保の目から涙がこぼれて…。
まとめ
1日限定で開かれた抹茶カフェ。
店長を務める京都茶問屋の若旦那、京都老舗和菓子屋で生まれ育った紙芝居師とその祖母など、人々が出会い、その出会いからものごとが少しずつ動き出したり自分の「ものの見え方、感じ方」が変化していく様子を描く、十二の物語。
ものごとが上手くいかない、前に進めないと感じるのはそこに「思い」があるから。
いつもと違った場所に行き、人と出会うことが「種」となり、やがて自分の中で大きなものに育ったり、何らかの形でまた別のものとつながっていったりする。
また、自分が動くこと、存在することで誰かの「種」にもなっている。
そうした素敵な「ご縁」を思い、心があたたかくなる物語です。
<こんな人におすすめ>
人と人が出会いつながることで知らぬうちに誰かの助けとなっている物語を読んでみたい
前作『木曜日にはココアを』を読んだ
青山 美智子のファン
自分が存在するだけで
誰かの何かの種になっているって
いいな。何だかうれしくなるぞ。
何気ない人との出会いや
つながりが誰かの大きな
喜びにつながっているのかも。
そんな素敵な思いになれる物語ね。
前作『木曜日にはココアを』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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