こちらは高校で起こる謎を
解く青春ミステリーよ。
生徒会長選で多くの白票が
入っていた理由を推理するの。
ほほう。白票か。
生徒会長候補者は嫌がらせされた
とかそういうことなのか?
候補者はコミュ力高く
スポーツも勉強もできる人気者なの。
何らかの不正が行われたのか、
選挙管理委員の生徒たちで
話し合うことになるのよ。
なるほどねえ。多くの生徒に
白票を出させる方法があったのか。
指示を出した人物は誰だったんだろう?
『その意図は見えなくて』藤 つかさ (著) 双葉文庫
あらすじ
八津丘高校二年の清瀬は生徒会長室で「ありえないと思いますよ」と言った。
生徒会長選挙の投票が終わり、開票してみると三分の一以上が白票だったのだ。
清瀬を含む十八名の選挙管理員が生徒会室へ集まり、たった一人の立候補者、氷室がいじめられているのか、という意見が出た際に清瀬が答えたのだ。
多くの白票が投じられた話をはじめ、未解決のままだった部室荒らしの犯人、合宿中に行方不明になった部員など、学校生活で起こる事件の謎に、生徒たちが挑む。
謎は解けてもそれで自分たちの問題は終わらないことがある。
多くの白票が投じられた謎
サッカー部の人気者、氷室が生徒会長に立候補。
見た目良く、成績も優秀でコミュ力も高い人物。
たった一人の立候補者であったため、当選は間違いないと誰もが思っていましたが、投票箱を開けてみると、何と全校生徒の三分の一以上が白票を投じていたのです。
生徒会室に集まった生徒たちはこの謎について話し合います。
陸上部に所属する清瀬の先輩、佐竹から「大勢の前で発言することが珍しい」と言われ、氷室の応援演説をした幼なじみのユウの姿を思い浮かべます。
諏訪野教諭が生徒会役員選挙管理規定を確認したうえで再投票となる不正が行われたかどうかを、選挙管理委員会で根拠を示して判断するよう、生徒に伝えます。
話し合いの議長に指名されたのは三年女子の鴻巣。
彼女は退学者を出した盗難事件を解決したのだとか。
時系列に行動を確認し、白票の数をクラスごとに聞いて佐竹先輩が板書します。
そして導き出した推理に「違うと思うなあ」と発言したのは佐竹先輩。
さらに彼女は清瀬がどう思うのかを聞きたい、と言います。
清瀬が導き出した答え、そして選挙管理委員会の結論とは。
まとめ
陸上部の副部長、清瀬は大人数の前で話すのは苦手で静かな人物、といった印象です。
幼なじみのユウのことを大切に思っていて、彼のこととなると普段と異なる一面が出てくることも。
学校で起こる謎には様々な事情や状況が潜んでいて、単純に謎を解決したから終了、というわけにはいかないのです。
正義という剣はむやみやたらと振り回すだけでは人が傷つくばかり。
その向こう側の思いに触れ、真相を導き出し、自身もまた悩み苦しむ清瀬のが姿がみずみずしく描かれる青春ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
高校生たちの日常に起こる謎を解き、さらにその先の問題を提示させるような青春ミステリーを読んでみたい
これから先の自分を考え、思いや悩みを抱える高校生たちを描く物語に興味がある
藤 つかさのファン
いいねえ。謎解きの
その先が、まさに青春!
ってカンジだ。清瀬って
状況だけじゃなく人の気持ちにも
よく気付ける奴なんだな。
未来への不安や思う通りに
いかない焦りやもどかしさ。
そんな想いが伝わってくる
青春ミステリーね。
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