こちらは岡っ引き見習いの北一が
相棒の喜多次の力を借りながら
江戸の事件を解決していく
シリーズの第二弾よ。
北一がとりわけすごい
能力を持っているわけじゃ
ないってところがまた
いいんだよな。
今回は検視の与力からの
命を受けて一家三人が殺された
事件の真相を探ることになったの。
そりゃまた責任重大な。
知識も経験も浅い北一は
どうやって捜査して
いくんだろう。
『子宝船 きたきた捕物帖(二)』
宮部 みゆき (著)PHP文芸文庫
あらすじ
正月二日の夜、枕の下に敷いて寝ると吉夢を見られるという宝船の絵。
しかし、赤ん坊を亡くしてしまった家にあった宝船の絵から弁財天の姿が消えていたという。
その頃、江戸深川の富勘長屋に住む岡っ引き見習の北一が利用していた弁当屋の一家三人が殺される事件が起こる。
北一は検視の与力、栗山の命により相棒、喜多次の力を借りながら事件の真相を探っていく。
宝船の絵から弁天が消えた理由とは
本業は文庫売り、岡っ引きとしては見習いの北一は、相棒で長命湯の釜焚きをしている喜多次が炊きつけ用に集めていた枯れ枝や紙くずの中に、一枚の絵を見つけます。
吉夢が見られるという宝船の絵ですが、弁財天だけがこちらに背を向けるようにして描かれています。
変わった絵だなと思い喜多次に断りを入れて北一はその絵を持ち帰ります。
赤ん坊が生まれた時にお祝いにできる文庫はないかと考える北一に、貸本屋の治兵衛は赤子はこの世の者ではなく、あっさりあの世に行ってしまうことがある。
人にはどうしようもないのだから、そこに商いをかませてはいけない、と言います。
何でも、酒屋がお年賀に配った宝船の絵のせいで赤子が死んでしまった家があったのだとか。
酒屋の主人が見よう見真似で描いた絵に子授けの力がある、と評判に。
しかしその絵を手にしめでたく赤子を授かったある家の妻が、その二ヶ月後に赤子を亡くしてしまいます。
そして絵の中から弁財天だけが姿を消していた、というのです。
その話を聞いた北一は、喜多次のところで手に入れた絵を思い出しこの件を調べはじめたのですが…。
また、幼い子供のいる夫婦がいる弁当屋をたまのぜいたくで利用していた北一。
ある日手習所の師匠、武部先生に弁当屋の様子がおかしいと言われ一緒に向かいます。
そこで目にしたのは一家三人の変わり果てた姿でした。
まとめ
見習であっる北一ですが、腕の立つ上司や同輩に見守られ、協力を受けながら真相に近づいていきます。
胸の中にしまっておくこと、人の力関係や心の動き。
そうしたことを一つ一つ学びながら、岡っ引きとして、江戸を守る一人の人間として成長していく北一を応援したくなるシリーズ第二弾です。
<こんな人におすすめ>
宝船の絵から弁財天が消えた謎を探る話に興味がある
前作『きたきた捕物帖』を読んだ
宮部 みゆきのファン
真相を探ることで
人を知り、己を知って
いくんだよなあ。
北一がんばれ!って応援
したくなるな。
ままならないことや
やるせない人の気持ちや
行動に触れて北一は
人間としても成長していくのね。
前作『きたきた捕物帖』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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