こちらは作家を目指す女性が
原稿を掲載してもらうために
あらゆる手段を講じていく
物語よ。
原稿を掲載…。賞に応募するとか
出版社に持ち込むってことか?
一度受賞はしたものの注目されず
その後の作品も鳴かず飛ばずなの。
作家気分を味わうためにホテルで
執筆しようとしたところ、同じホテルに
大物作家が執筆中であることを知るの。
ほうほう。大物作家に対して
一体何をしようと言うんだ?
『私にふさわしいホテル』柚木 麻子 (著)新潮文庫
あらすじ
三年前、文学新人賞に応募し大賞を受賞した加代子。
ここから憧れの作家生活がスタートする…はずだったが、同時に受賞した元・人気アイドルにすべての注目を奪われ泣かず飛ばずの日々を送る。
それでも大物作家気分に浸りたくて、自ら山の上ホテルにカンヅメとなり気分を盛り上げようとしていたところに、大学時代の先輩で現在は大手出版社の文芸編集者である遠藤がやってきて、加代子の上の階で大御所作家である東十条宗典が執筆中だと話し…。
原稿掲載のためにとった加代子の行動とは
文学新人賞の大賞を受賞したものの、注目されたのは同時受賞の元アイドルの方ばかりで、受賞から三年経っても単行本は出ず書いた原稿もどうやら編集者に読んでもらえている様子もない加代子。
受賞時の原稿を書いた場所、といことで縁起をかつぎ、毎年バイトでためたお金で山の上ホテルに泊まり、自らカンヅメを行なっています。
そんな中、先輩がやってきて、上の部屋に大御所作家、東十条宗典がカンヅメで原稿を書いていて、今晩中に原稿が上がらなければ先輩に預けていた加代子の原稿が大物作家たちとともに文芸雑誌に載るかも…という話に。
先輩が帰った後、頭の中で妄想を繰り広げる加代子。
モップの柄で天井をどんどんと突ついてみる?
外壁をよじ登り、窓ガラスをこんこんと叩く?
夢中で作戦を書き出し、じっと考え込む加代子の部屋がノックされ、先輩からルームサービスのシャンパンが届けられました。
栓を抜こうとするスタッフを諭して帰ってもらい、加代子はバイトの制服を手に取ります。
シャンパンを手に加代子が向かった先とは。
まとめ
情熱と企みに満ちた女性作家の奮闘記。
元演劇部の経験を活かして、己の力でガンガンとわき目もふらずに自分の道を切り拓いていく加代子の姿は、オイオイやりすぎだろうとツッコミつつもそのパワフルさと度胸の良さは魅力的でもあります。
その過程で敵を作るも、同じ目的を持ったタイミングで手を組んだり、きらびやかな文壇の世界に目が眩んでしまったり。
トラブルがなければ小説が書けないのか!というくらいに次から次へとピンチがやってきます。
作中には朝井リョウ氏も登場し、けっこうクセのある人物として描かれていますが、これは事実に近いのか気になります。
ハチャメチャだけれど、作家としての情熱がとにかくすごい!
こんな作家さんがいたら出版社は大変ですが、人としてはバツグンにおもしろい、その激闘を描いた物語です。
<こんな人におすすめ>
売れない女性作家がチャンスを得るために奮闘する姿を描いた話に興味がある
様々な出来事から小説家として価値観がどんどんと変わっていく女性の話を読んでみたい
柚木 麻子のファン
すごすぎる!!
作家よりも女優を本業に
したほうがいいんじゃないか!?
作家への情熱にとにかく
圧倒されるわね。活躍する場によって
価値観がどんどん変化していく様子にも
注目したい物語ね。
のんさん主演で映画化されるようです。
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