こちらは新しい家へと引っ越した
幸せな一家がある歌の歌詞に
合わせたように次々と不幸に
襲われる物語よ。
ええ〜 怖っ!
一体何が起こったっていうんだ?
あるCMに使われる予定で一家は
撮影される予定だったの。
でも父親をはじめ家族のメンバーが
次々と命を落としてしまうわ。
何だって!?それって家族の誰かが
犯人ってことなのか。それとも
外部の人間?歌との関係も気になるぜ。
『幸せな家族-そしてその頃はやった唄』
鈴木 悦夫(著)中公文庫
あらすじ
新しく丘の上に建てた家へと引っ越してきた中道家は写真家の父・雄一郎と母・由美子、高校二年生の姉・一美と中学二年生の兄・行一、そして小学六年生のぼく・省一の五人家族。
そんな僕らが新しい家で暮らす様子を撮影し、CMに使われることに。
ところが父親の変死に始まり、不気味な歌の歌詞に合わせ家族が次々と謎の死を遂げる。
絵に描いたような幸福な一家に起こった悲劇の真相とは。
不穏な唄になぞらえるかのような家族の死
一年前、小学六年生のぼく・省一は家族と共に新しく建てた家に引っ越してきました。
広い敷地には二階建ての母屋、父の仕事用のスタジオ、そして花壇や野菜を育てる菜園もあります。
引っ越しの片付け中、父の知人らしき人たちが一家をたずねてきます。
CM演出家の西浦尚平、広告代理店の森山プロデューサー、カメラマンの谷口紀夫、そしてCMを撮るためのあらゆる準備を整える秋山淳の四人は、「幸せな家族」というシリーズのCMを中道家をモデルに撮影したい、と一家に話します。
快諾した一家のもとへ、撮影チームの三人である尚平おじさん、谷口さん、秋山さんの三人が一週間に一度くらいの割合で家に来るように。
次第に一家とスタッフは気心知れた仲になりますが、ある夜、兄の行一がどうしても聞かせたい、と皆に「その頃はやった唄」という曲を歌います。
それは家族が次々と殺されていく、何とも恐ろしい歌でした。
そしてその十日後、父親の勇一郎がスタジオで血を流して倒れ、死んでいるのを発見されました。
そばには大型のカッターナイフが落ちています。
それは「その頃はやった唄」の歌詞の一部と同じ状況でした。
警察が捜査を続け中、また家族の一人が家の中で大きな怪我を負い、死亡します。
その状況もまた、あの歌詞にそっくりなのでした。
まとめ
家族が次々と死んでいく不穏な歌詞の歌。
その内容になぞらえたように人が命を落としていくのは偶然か、それとも何者かの意図したことなのか。
思春期の子供たちの感情や大人たちの思惑が絡まり合い、真実にベールを覆っているかのようです。
幸福な一家を襲う黒い影の正体が明らかになったとき、衝撃に震えるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
幸せな一家を襲う悲劇を描いた話に興味がある
ある歌になぞらえ家族が次々と死んでいくミステリを読んでみたい
鈴木 悦夫のファン
うわあ〜〜 なんともはや…。
胸にずっしりくる物語だな。
今の時代と異なる価値観に驚く
部分もあるな。
大人たちの間で揺れ動く
少年の無力感や葛藤が細やかに
描かれているわよね。そして
驚きの結末に衝撃を受ける物語ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。