こちらは『作家刑事毒島』
シリーズの第三弾よ。
思想犯絡みの事件が起こり
毒島は公安の刑事と捜査するわ。
公安と??相性悪そうだなあ。
公安と国家、まとめて揶揄しそう。
思想犯に対する毒はもちろん
大放出なのだけれど
毒島の作家としての思想にも
触れているの。
ほほう。それは興味深いな。
それと思想犯をどんな風に
ぶった切るのかも楽しみだぞ。
『作家刑事毒島の嘲笑』中山七里(著)幻冬舎文庫
あらすじ
右翼系の出版物を多く出している改新社が放火された。
思想犯によるテロ活動と踏んだ公安の淡海は、現場を訪れた際に作家を兼業している刑事の毒島と出会う。
皮肉な口ぶりで犯罪者をいたぶる毒島は、淡海に対しても小馬鹿にしたような態度を取る。
衆議院選挙美が迫る中、さらに極左集団が関係する事件が起こり候補者の身が危険にさらされることに。
毒島はテロを防げるのか。
薄っぺらい思想を毒舌でぶった切る
午前二時二十分に出版社改新社のビルから火の手が上がり、校了明けで寝泊まりしていた編集者四人のうち三人が大火傷を負って意識不明の重体に。
右傾の出版物を狙う左翼の関与の疑いも考えられるため、公安の淡海は現場へ駆けつけます。
すでに現場にいた同期の高千穂明日香と会話を交わしているところに作家を兼業している刑事、毒島が登場します。
事件の背後関係をレクチャーする、という毒島の話によると出版社自体が思想を持つのではなく、ビジネスとして右や左を扱っているということ。
それは出版界では周知の事実であるため、改新社を思想の動機で放火したならば出版社以外の人間、出版関係者ならば思想以外の動機になる、と淡海に話します。
後日、防犯カメラの映像から犯行時刻に現場近くにいた三人が任意で出頭することになり、毒島も取り調べを行います。
淡海も同行し、そのやりとりを目にするのですが。
薄っぺらい主義主張をふりまく二十一歳の大学生、かつて学生運動に身を投じていたという七十二歳の老人。
改新社の雑誌をフェミニストの敵と吠える、四十二歳のパート勤の主婦。
それぞれに思想を主張し、どの人物にも動機があるように見える中、毒島がたどりついた犯人とその真相とは。
そしてこの放火事件をきっかけに思想犯絡みと思しき事件が次々と発生。
裏で糸を引いている人物は何者なのか。
まとめ
今回は右や左など国家のあり方についての思想や信条が絡んだ事件に、毒島がいつもの毒舌とキレのある推理で挑んでいきます。
ネットに置かれた主義主張を頭に入れて吐き出すだけの薄っぺらい主張、と犯人の一人をバッサリ。
その一方で作家という職業に対しての真摯な思いもちらりと見せてくれます。
政治や思想といった大きくつかみどころのない相手にも立ち向かい追い詰める姿にワクワクする物語。
<こんな人におすすめ>
思想絡みの事件を毒舌を発しながら解決する刑事のミステリーを読んでみたい
『作家刑事毒島』シリーズのファン
中山七里のファン
『作家刑事毒島』シリーズのイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
うえええ 結末にびっくり!
そして毒島、クールだよなあ。
思想というか、自分の心情が
全くブレないんだよな。
作家としてのあり方が
毒島の人となりの根本を
作っているのかもしれないわね。
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