こちらはある施設で亡くなった
女性が、実は別の人物だったという
謎について探っていくミステリーよ。
別人だったってどういうこと?
それって周囲の人が気づきそうな
もんじゃないの?
ところが周囲の人たちは
彼女が本人だと思って少しも
疑わなかったそうなの。
そんなことが可能なのか、そもそも
なんで別の人間になろうと思うのか、
気になることが多すぎるぞ!!
『鏡の背面』 篠田節子 (著) 集英社文庫
あらすじ
薬物依存やDVなどで心的外傷を負った女性たちの施設で火災が発生した。
施設を利用する女性たちやスタッフに「先生」と慕われていた小野尚子が、建物に残された赤ん坊を助けるために火中に飛び込み、赤ん坊は助かったが尚子は焼死した。
残されたスタッフが警察から受けたのは「遺体は別人だった」という連絡。
聖母と呼ばれた女性は何者だったのか。
警察からの連絡を受け、驚いた施設代表の優紀は、以前尚子を取材したライターの知佳に事情を話します。
焼死した半田明美、つまり小野尚子になりすましていたと思われる女性は、元女優であり、関わった男性数人が不審死を遂げていました。
過去の明美を追っていたライターの長島からの話や、小野尚子が何度も通っていたというフィリピンへ向かい、知佳は明美と尚子の接点を探します。
そして見つけた真実とは。
まとめ
手に入らない、両親や異性からの愛。
一昔前の価値観を押し付けてくる古参男性ライター。
抜けられない依存、意志の続かない自分の弱さへの嫌悪。
様々な背景が複雑に絡まりながらも「悪女のような女がなぜ聖母になろうと思い、そしてなることができたのか」という最大の疑問の答えへと読者を導きます。
「自己」とは「愛」とは何なのかを考えさせられる物語です。
<こんな人におすすめ>
聖母と呼ばれた女性になりすました女の背景に興味がある
どのように「なりすまし」が行われたかを描くサスペンスミステリーを読んでみたい
篠田節子のファン
こ、こわ…ガク((( ;゚Д゚)))ブル
しかし1人の女の悲しい物語でもあるな。
他人になってでも掴みたい
幸せっていったい何なのかしら。
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