
こちらは両親を亡くした小学生の
成美が母親の友人の家で
ぬいぐるみのくますけと一緒に
暮らし始めるお話よ。

両親を亡くしたのか。それは
気の毒に。成美はさぞかし
落ち込んでいるのだろうな。

ところがそうでもないの。
両親はいつも険悪な雰囲気で
成美は自分が原因だと感じていたわ。
学校では嫌われていてたった一人の
友達がぬいぐるみのくますけだったの。

結構複雑な環境だったんだな。
くますけに支えられて
これからいろんなことを
乗り越えていけるんだろうか。
『くますけと一緒に-新装版』新井 素子 (著) 中公文庫
あらすじ
両親をいっぺんに亡くした小学四年生の成美は、母の親友である裕子さんの家で暮らすことになった。
大切にしているくまのぬいぐるみであるくますけと一緒に。
同級生や両親から嫌われ疎まれていた成美を救ってくれていたのはくますけだと思っていた成美だが、実は邪悪なぬいぐるみなのかもしれないと感じはじめる。
大切なくますけは天使なのかそれとも…?
片時もくますけと離れることができない成美はクラスメイトから嫌われ、両親もそのことが原因でケンカをしたりしていました。
両親が亡くなり、母よりも話しやすい裕子さんが成美を引き取ってくれることになりましたが、裕子さんの旦那さんは成美とどう接して良いか戸惑っているようで二人の間にはぎこちない空気が流れます。
くますけに毎日話しかけ自分の思いを伝えてきた成美は、彼女にいやなことを言ったり苦しめたりした人間が不幸に遭うことに気付きます。
そう、成美の両親も…。
ひょっとしてくますけは邪悪なぬいぐるみなのかもしれない。
そう思い始めた成美ですが。
まとめ
自分が原因でケンカばかりする両親、同級生からはいじめられて、と過酷な環境で過ごしている成美にとってくますけは心を許せる唯一の存在。
そして彼女が話しかければくますけはいつだって最適な答えを出してくれる、支えとなってくれる存在です。
母の親友である裕子さんもそんな成美を優しく見守ってくれて、周囲の環境に無理に合わせなくても良いと言ってくれます。
そんな裕子さんに感謝しつつも、周囲に気を使わせたり、何か起こると「自分のせい」と自分を責めてしまう成美に胸が痛みます。
そして成美の力になってくれるくますけは優しいヒーローかと思いきや…。
少女の繊細な心の動きに寄り添うぬいぐるみが彼女のことを一途に守る姿にほっこりとしつつ漂ってくる不穏な空気に、どこへ向かうのかドキドキが止まらない物語です。
<こんな人におすすめ>
つらい境遇に生きる少女がイマジナリーフレンドに支えられ乗り越えていく話に興味がある
大切なぬいぐるみに隠された不思議な力を描いた物語を読んでみたい
新井 素子のファン


ぬいぐるみが少女を守る
ほっこりエピソードかと思いきや!
ところがどっこい…と思いきや!!
油断がならないぜ〜

少女の繊細な心の動き、成長の
様子の丁寧に描写に感動すると
同時に先行きの読めない展開に
ドキドキが止まらない物語ね。
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