
こちらは同じ地域で起こった
三つの事件にある関連性を
見出した女性雑誌記者が
事件の謎に迫っていく物語よ。

その三つの事件は同一人物に
よるものだったってことか?

事件の詳細を確認していくうちに
被害者の印象が変わっていくことと
全ての事件に関連のある人物を
見つけ出し、その相手と接触を図るの。

事件の全貌や真相が明らかに
なるのはいいんだけど
その相手に近づいて大丈夫なのか?
危険な目に遭わないといいが…。
『ダブル<新装版>』永井するみ (著) 双葉文庫
あらすじ
二十代の女性が道路に飛び出し、トラックにはねられて亡くなった事件。
痴漢の容疑をかけられた男性が階段から転落して死亡した事件。
女性の体に触ろうとする老人が薬物入りのコーヒーを飲んだ事件。
同じ地域で起こった三つの事件に、雑誌記者の相馬多恵はある人物との関連を見出し、その謎に挑む。
事件につながりを持つ女性の正体とは
『週刊フィーチャー』の記者である多恵は、『いちゃつきブス事件』と呼ばれている事件を追っていました。
二十代の女性が路上に飛び出し、避けきれなかったトラックにひかれて死亡したのですが、女性は自ら車道に出たのではなく、誰かに背後から押されたとの証言が出ました。
恋人の男性が疑われましたが結果はシロ。
話題となったのは女性の見た目で、肥満体型で目が細く、唇が厚いいわゆる「ブス」であり、ネットで知り合った彼氏にぞっこんだったのだとか。
彼氏にまとわりつくその姿は周囲の人間も眉をひそめていたそうです。
多恵は彼氏である佐藤宏隆のもとをたずね、亡くなった女性との関係や事故当日の様子を聞きます。
彼に対して多恵は、掴みどころがない男だと印象を受けます。
一方、妊娠中の柴田乃々香は疲れやすく気分が落ち込むこともありました。
そんなときに元気をもらえるのが、女性がトラックにはねられて死亡したことが伝えられた新聞記事の切り抜きと『記念品』と呼んでいるプラスチックの小さな飾り。
これらを見ると、自分自身とお腹の子のためにもうひとがんばりしようと思えるのです。
まとめ
何のつながりもないような三つの事件。
真実を、そして事件の裏側にある人間の怒りや悲しみ、やるせなさを読者に感じてもらえるような記事を書きたい。
多恵はそんな思いを胸に、事件の被害者周辺や現場をたずねて話を聞いていきます。
そして浮かびあがってきたのは一人の妊娠中の女性。
子供を授かったあたたかで幸せそうなオーラをまとう彼女にも取材を申し込んだ多恵は、意外なことに彼女に好感を持つ自分を感じます。
彼女に犯行は可能なのか、それとも…。
被害者や犯人の意外な一面が明らかになるにつれ、恐怖を感じる一方で「人っていいな」と思う部分も。
まさに「ダブル」な人間性と単純ではない二面性のある事件の謎解きと解決に向けたタイミングで危機が迫るハラハラを楽しめる、一気読み必至の大満足なサスペンス・ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
女性ライターが不可解な事件のつながりを追う話を読んでみたい
真の悪意とは何かを問うような作品に興味がある
永井するみのファン


そう来たか〜!!
いやあこの動機はエグいな。
現実にもなんだか起こりそうな
ところがますます怖い。

被害者や関係者の表面からは
見えない部分を描くことで
人の心に訴えかける文章を
作れるのかもしれないわね。
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