
こちらは軽井沢にある老舗ホテルの
スタッフやそこに訪れるお客たちを
描く『銀河ホテルの居候』シリーズ
第三弾よ。ホテル勤務三年目となる
由麻がはじめて手紙室を利用するわ。

スタッフもホテル室がどんなことを
しているのか知っておきたいよな。
ところで由麻は何か書きたい手紙が
あるのか?

「ホテルの守り神」と呼ばれる
苅部がどんな風にお客に接して
いるのかを知りたくて参加した
由麻なのだけど書きたいことは
特に見当たらないようよ。

なるほどねえ。そんな由麻に対して
苅部はどんな風に声をかけるんだろう?
気になるところだな。
『銀河ホテルの居候 落葉松の森を歩いて』
ほしお さなえ (著)集英社文庫
あらすじ
軽井沢にあるこじんまりとした老舗の銀河ホテルでは、居候のスタッフ・苅部が担当する『手紙室』が人気を集めている。
ホテルに勤めて三年目になる早乙女由麻は、休暇を利用して手紙室のワークショップに参加することに。
文字を綴ることで由麻が感じたこととは。
文字と世界がつながりを持つあたたかな物語。
ホテル勤務三年目で出会った一冊の本
繁忙期の十六連勤を乗り越え、ようやく一日だけ休みを取ることができた由麻。
大学四年のときに家族旅行で訪れたこの銀河ホテルの森林ハイクに参加したことがきっかけでホテルに興味を持ち、試験を受け採用されてから三年になります。
ホテルの守り神と呼ばれている苅部が担当している手紙室のワークショップに参加してみては、と社長の息子である旬平に勧められますが、見学したいと思うものの参加するとなるとまた話は別であることを伝えます。
しかし、旬平から手紙を書かなければならないというわけではなく、過去にはイラストやゲームなどを書くお客様もいたこと、そして何よりも不思議な体験だったという話を聞き、参加することに。
旬平の父親が書いた一冊、『夜に想う』を蔵書室で借りて読むと、その言葉たちは由麻の心のなかにすうっと染み込んでいくようでした。
そして迎えたワークショップ。
ほほえむ苅部を前に、「手紙を書きたい相手がいるわけでも、書きたいことがあるわけでもなくて。」と口ごもる由麻ですが…。
まとめ
ホテルの守り神と呼ばれる苅部のワークショップでは一体何が行われているのか。
苅部はお客様にどのように声をかけて接しているのか。
そんな部分に興味を持っていた由麻は、突然の休みに手紙室の予約を入れたものの、書きたい内容は見つからないままです。
インクを選び、苅部との雑談の中で由麻が以前習っていた書道の話題になります。
話していく中で「書く」ということに目を向けはじめたとき、由麻はペンを持ち紙に向かいます。
出会う人々や目にする世界は通りすぎていくけれど、心にとどめつながりを持たせるために言葉を綴る。
そんな風に感じる、心にあたたかな火がともる物語です。
<こんな人におすすめ>
『書く』ことで人や世界とのつながりを感じられるような物語を読んでみたい
『銀河ホテルの居候』シリーズのファン
ほしお さなえのファン


目や耳にした世界を文字で
留めておくって素敵じゃないか。
文字や文章の可能性を
改めて感じさせられるな。

苅部が送ってきた人生は
手紙室に訪れる人たちの
経験してきた世界とこれからの
可能性を紙とペンに伝えることに
生きているのかもしれないわね。
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