
こちらは近未来やディストピアな
世界など様々なジャンルの15編を
収めた短編集よ。

タイトルが不思議だよなあ。
牛を球とするっていったい
どういうことなんだい?

この世界では球形の牛肉を
工場で生産しているの。
その理由や背景などが
とても興味深いのよね。

球形の肉ねえ。この世界に
生きる人々はどんな価値観で
暮らしているんだろうなあ。
『まず牛を球とします。』柞刈湯葉 (著) 河出文庫
あらすじ
牛は食べたいけれど、動物は殺したくない。
そう考えた人類が生み出した理想の食物が存在する世界とは(「まず牛を球とします。」)。
東京都で発生する交通事故の責任を担う部署は都庁で暇な部門と言われていた(「東京都交通安全責任課」)。
友人たちからも美人と評判の妻は少々常識や知識に欠けているものの頑張っている(「家に帰ると妻が必ず人間のふりをしています」)。
奇妙な味わいの15編を収めた短編集。
殺さずに食べられる球状の牛肉
五年前に東京が消滅し、ジャカルタへやってきたヌルイチは牛球工場の広報員として働いています。
工場見学に訪れた人々からの質問に答え、牛肉の生産方式を説明。
容器に培養液を入れ攪拌されることで完成する球体の牛肉は、肉は食べたいけれど殺したくないといった人々の考えに応える理想的な形態なのです。
仕事を終え、帰宅したヌルイチは同居人のゼブラと「外人」に占拠された東京の様子を伝えるニュースを見ながら命の価値について語り合います(「まず牛を球とします」)。
東京で働きたかった私は就職活動を始め、都庁での採用が決まり「東京都交通安全責任課」に配属。
東京都内を走る車で事故が起こった場合に責任を取ると言う仕事です。
人が運転することなく全てコントロールされた状態で走る車は滅多なことでは事故が起こることはないのですが(「東京都交通安全責任課」)。
まとめ
培養液で作る球体の「生きた」肉。
それは命なのか否か。
そんな哲学的な要素も含みつつ、近未来の地球は人々の要望を叶える「食用肉」を作り出しています。
DNAを自由自在に操る世界では背筋にうすら寒さを感じる一面も(「まず牛を球とします」)。
完全自動制御された車が走る東京で、まれに起こる事故の責任を取るだけに存在する部署は皮肉が効いていて思わず笑ってしまいます。
無駄ではあるけれど日本人はこういう部分あるよなと感じさせてくれます。
SF要素あり、現代的なテーマもあり所々に科学や物理を挟みつつも、理系苦手な肩も十分に楽しめる短編集です。
<こんな人におすすめ>
近未来を舞台にしたSF作品が好き
物理や化学要素を交え人間社会を皮肉ったような話を読んでみたい
柞刈湯葉のファン


皮肉の効いた近未来の世界。
星新一っぽくてなかなかいいな。
しかしまあいろんなジャンルを
描いているなあ。

SFや科学の情報が多く描かれて
いるけれど、知識がなくても
楽しめる物語が満載の短編集ね。
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