『夏の情婦』 佐藤 正午 (著) 小学館文庫
あらすじ
たやすく手に入れた女も仕事も、夏の終わりとともに通り過ぎて行った。一瞬の情熱、乾いたきらめきを描いた表題作のほか、軽快な青春小説集。
大学を出てから定職に就けない二十六歳の「ぼく」は学習塾の講師という仕事を手に入れた。夏休みの間、午前中子供たちの勉強を見たあと、太った女のもとへ行き、女を抱く。ある日、女から別れを告げられた。
まとめ
他人どころか、自分の心の奥底ものぞかないようにしているかの印象の「ぼく」。彼を通り過ぎる景色や人物たちが、彼の姿を明確にするようです。しかし本人ははぐらかすかのような行動や言動をします。
留まりたくない、漂っていたいと無意識のうちに感じているような男の完成を見事に表現した恋愛小説。言葉にできない男女のやりとりってきっとこのようなものなのです。
<こんな人におすすめ>
若い男の漂うような生き方を読んでみたい
表現や技巧が優れた小説を読みたい
直木賞受賞作家の作品に興味がある
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