はじめに
この頃、夜が長く感じられるな。
秋だものね。
今回は秋の夜長にぴったりな
小説を紹介するわ。
秋もいよいよ深まって参りました。夜が長くなってくるこの時期、暖かい飲み物を片手に、ゆっくりと読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。
静かな秋の夜に読む物語は、あなたの心の奥深くに染み込んでいくかもしれません。そんな、秋の夜長にぴったりの小説を10冊選んでみました。物語の世界観に浸ってみてください。
『おやすみ、東京』 吉田 篤弘 (著) ハルキ文庫
深夜の都会で起こる出来事を
描く物語よ。
午前1時、東京の夜。そこでは様々な場所や場面で、誰かとすれ違っています。映画会社の小道具の調達をしているミツキは、果物の「びわ」を求め、タクシー運転手・松井に協力してもらいながら夜の街を探し回ります。ようやく見つけたびわの木には、すでに誰かが登っていて…。
深夜に出会う不思議な、ゆるやかなつながりで互いが持つ問題を共有したり、解決したりしていきます。大人が読むおとぎ話のような、あたたかな余韻を残す物語です。
都会の夜があたたかなものに
感じられる素敵な物語だな。
『終電の神様』 阿川大樹 (著) 実業之日本社文庫
終電が止まった後に訪れる
様々な人間ドラマを描いた
短編集よ。
最終電車が事故で運転を見合わせる。隠れ家に向かう会社員、残業続きのIT業者、彼とギクシャクしてしまった女性。止まった電車の中で、自分を振り返り、動き出した電車とともに、自身の人生が動き出す。切なく、あたたかい七話の短編集。
ミステリー、男女の心のすれ違い、親子の絆など、様々なテイストの話が散りばめられた物語たちです。最終電車が止まる夜。それは自分の人生を見つめ直すきっかけを、神様が与えてくれたのかもしれません。
人生は電車に似ている部分が
あるかもな。止まることで
それまでと違った景色が見えるんだな。
イラストレビューはこちらから。
『バー・リバーサイド』 吉村 喜彦(著) ハルキ文庫
川沿いのバーで供される
美味しいお酒とおつまみ、
そしてお客さんとのやりとりを
描く物語よ。
二子玉川にある大人の隠れ家「バー・リバーサイド」。マスターの川原とバーテンダーの琉平が、おいしいお酒&フードとあたたかな心づかいでお客を迎える5つの短編集。
お客とバーテンダーの会話から生まれる空気感がしっとりとしていて、マスターが作るカクテルの味を、一層奥ゆきのある深い味にさせます。人の生き様が酒の味わいを広げ、深めてくれる、じっくりと楽しみたい物語です。
飲む酒を使って作るおつまみなんて
美味しいに決まってるだろ!!
飼い主にも教えてやろう。
イラストレビューはこちらから。
『裸の華』 桜木 紫乃 (著) 集英社文庫
怪我をして引退したストリッパーが
店を開き、若いダンサーを育てて
いく物語よ。
ストリッパーとして活躍していた40歳のノリカは、公演中に骨折し、引退を決意。札幌のすすきのに、店を開きます。若い二人のダンサーを育て、腕の良いバーテンダーにも巡り会い、次第にノリカの店は軌道に乗りはじめるのですが。
裸一貫で今までのキャリアを積んできたノリカ。ダンスが好きで、引退の後は若いダンサーを育てることにその情熱を注ぎます。心のうちに、不安とプライドを抱えながら夜の世界に大きく開く華。艶やかに、力強く咲く女性の姿を描く物語です。
まさにむき出しの情熱だな。
苦労も多いが得るものも大きそう。
イラストレビューはこちらから。
『よるのばけもの』 住野よる(著) 双葉文庫
夜になると化け物になる男子高校生が
夜の学校である女子生徒と交流を
深めていく物語よ。
高校三年生の僕は、夜になると化け物になる。黒い粒の塊である体には八つの目玉がついている。ある夜、化け物の姿で学校に行くと、そこにはクラスメイトの矢野さつきがいた。
昼間はいじめを受けている矢野さつきと、化け物の姿となった僕は明かりの落ちた教室で言葉を交わします。学校という閉じた世界のな中で、自分を隠すことで苦しむ僕と、隠さないことで傷つく矢野。夜の闇はそんな二人の痛みや苦しみを包み込みを、優しく包んでくれるのです。
昼間には見せない夜の顔に
本当の心が隠れているのかも
しれないな。
『幽霊人命救助隊』 高野 和明 (著) 文春文庫
自殺して幽霊となった主人公が、
他の自殺志願者の命を救っていく
お話よ。
首をくくり、自ら命を絶った浪人生の裕一。そんな彼に神様は、自殺志願者100名の命を救えば天国に行かせてくれる、と言います。裕一と同じように自ら命を絶った三人の仲間とともに、救助作成に挑みます。
自殺願望者と向き合ううちに、自分自身が悩んでいたことや、生きることの意味について深く考えていくメンバーたち。辛く厳しい思いの中で生きるとはどういうことなのか。耐えきれずに自ら命を絶ってしまった後はどうなるのか。永遠に続くかのように見える夜の闇の中から生きる意味について必死に考える彼らを応援したくなる、感動の物語です。
命についてじっくり考えたのちに
訪れるラストは感動の涙が溢れる!!
『君がいない夜のごはん』 穂村 弘 (著) 文春文庫
歌人が「食べ物」について描いた
エッセイよ。
歌人が日常の中に見出した「食べ物」を綴るエッセイ集。食べ放題におののき、「ダサい食べ物」を恐れ、脳内に現れる「逆ソムリエ」の声から逃げる、驚きと笑いに満ちた58のエッセイ。
「逆ソムリエ」とは何か?それはお気に入りのパンに対し、「店長がひとつひとつ丁寧に口に入れてはまた出したパンでございます」などと脳内に訴えかけてくるのです。…嫌だなあ。こんな具合に、ゆるっと力の抜けた、ユーモアたっぷりの食エッセイ。一息つきたい夜に、リラックスしながら読める一冊です。
さすがの想像力!「食」で
こんなに楽しめるとは。
『うつせみ屋奇譚』 遠藤 由実子(著)角川文庫
子供にだけ見える「うつせみ屋」という
宿屋に訪れた女の子のお話よ。
小6の鈴は、亡くなった祖父の霊にあることを頼まれる。深大寺の近く、子どもにだけ見えるという「うつせみ屋」にあると聞き、訪れるのだが。
祖父から依頼されたのは「浮世絵の中から出ていってしまったらしい〈あの子〉を探して欲しい」というものでした。鈴がやってきた「うつせみ屋」にはいろんな妖たちがいて…。闇に潜む怖さや不安、そして大切なものを守りたいと思う気持ち。闇の世界でありながらも切なくて、あたたかな、どこか懐かしい物語です。
鈴が成長していく姿にも
感動を覚えるな。
『夜届く』 倉知 淳(著) 創元推理文庫
夜に届く電報の謎を解き明かす
猫のような猫丸先輩が活躍する
ミステリーよ。
ある夜、柳沢の元に差出人不明の電報が届いた。「病気、至急連絡されたし」とあり、心当たりに電話をかけてみたが該当者なし。しかも何度も届く。そこで柳沢は猫丸先輩に相談するのだが。
小柄で童顔、猫のような見た目の猫丸先輩は、日常の謎を鮮やかに解く名探偵でもあります。その力の抜けた、猫のような気まぐれぶりからは想像もつかない洞察力で、夜に起こる謎を解いていきます。後輩・八木沢との軽妙なやりとりも楽しいミステリー短編集です。
フニャッとした猫丸先輩の
見た目とキレのある推理が
クセになるな。
『凶血 公安調査官 霧坂美紅』 吉田 恭教 (著) 角川ホラー文庫
人間を凶器に変えてしまう
ウイルス兵器の存在を
探る公安調査官のお話よ。
連続老女殺人事件の犯人が手にしていた被害者の遺書には、旧日本軍が開発したウイルス兵器の情報が。公安調査庁・調査官の霧坂美紅は捜査をはじめる。一方、刑事である中島千明は見たこともない奇妙な姿の死体に困惑していた。
人を兵器に変えてしまうウイルスの存在。しかも、実際にそのウイルスを体内に持つ人間が存在している可能性があるのです。背後にいる黒幕の正体、そして奇怪な死体と消えたけが人。暗闇を闊歩する不気味な存在と、人体兵器を作り出し、利用する者たちに背筋が冷たくなるサスペンスホラーです。
実は公表していないだけで
本当にこんなことがあったりして…
なんて思ってしまうな。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。しんしんとふけていく秋の夜。ページをめくる音を聞きながら、頭の中で物語の世界を広げ、楽しんでみてはいかがでしょうか。
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